日本も他人事でない中国の拉致と「デマ番組」3夜連続で台湾を恫喝

 

もちろん、これに対して中国側は強烈な不満を表明しています。同時に、このスピーチの後、中国は国営中央テレビで連日「台湾のスパイ」についての番組を放送して、蔡政権をけん制しました。

中国国営テレビ“台湾のスパイ”連日放送 蔡政権をけん制か

番組は10月11日から連続3日間放送されました。番組で登場した台湾人の李孟居氏は、中国当局に拘束されただけでなく、テレビカメラの前で「過去に悪事を多く働いた。祖国や国家を傷つけることもあったかもしれない」と、謝罪までさせられています。

李氏は、2019年8月に単身で香港に渡った後に消息不明になっていた人物だったそうです。番組の中では、李氏は国家安全維持法の導入で混乱している香港情勢を利用し、香港独立を図った罪で拘束されたと説明され、拘束時、彼が持っていたビラやポスターなども番組で放送されました。

このことは台湾のマスメディアでも大きく取り上げられ、蘇貞昌行政院長(首相)は、以下のようなコメントを出しています。報道を一部引用します。

中国は決まって無実の人に存在しない罪をかぶせて侮辱し、恐怖をあおると不快感を示した。

 

対中政策を担当する大陸委員会は12日、中国に対し、強い抗議を改めて表明するとし、罪をでっち上げて台湾人を理由もなく陥れるのはやめるべきだと訴えた。

中国国営放送「台湾スパイ」謝罪再び 蘇行政院長「大国のやることではない」

また、頼清徳副総統は次のようなコメントを出しています。報道を一部引用します。

頼清徳副総統は12日、イベント出席後に取材に応じ、両岸の意見の不一致を解決するため、中国は対話に応じるべきだと呼び掛けた。また、李さんや李さんの家族に対し必要な支援を政府として行っていくとの姿勢も示した。

中国当局に拘束の台湾人、番組で「過ち」認める 大陸委「悪意ある政治操作」

その問題の番組は、CCTV(中国国家中央テレビ)の『焦点訪談』という番組です。

焦点訪談・台湾間諜窃密案 《魅影重重》| 第一集《別有用心的“商人”》

この番組を見た私の感想としては、登場する警察官やイメージ映像などがとても芝居がかっているなという感想です。李氏がアメリカでも台湾独立活動を水面下で行っていたといった、壮大なノンフィクションになっています。李氏にはビジネスマンという顔のほかに、台湾独立分子の台湾スパイの顔もあった、という内容です。

まあ、国家間の駆け引きにおいて、スパイという存在は必要悪です。それにしても、情報合戦に長けている中国が、こんなわざとらしい番組をでっちあげて台湾を攻撃するとは、よほど焦って作ったとしか思えません。それほど中国は追い込まれているのではないでしょうか。

台米の距離が縮み、世界では台湾を支持する国家が増える一方で、中国の一体一路政策に不満を抱く国家が増えている現状、中国のメンツは丸つぶれです。

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