誰の指令か?「学術会議は諸悪の根源」というデマを流布する人間の正体

 

そして、翌6日になると、今度は「お騒がせおじさん」こと橋下徹が、自身のツイッターで「学者がよく口にするアメリカとイギリス。両国の学者団体には税金は投入されていないようだ。学問の自由や独立を叫ぶ前に、まずは金の面で自立しろ。」などと投稿して、日本学術会議への年間10億円の予算を批判しました。しかし、これも完全なデマです。アメリカでは科学者団体「全米科学アカデミー」に年間240億円以上の公的資金が投入されていますし、イギリスでも同様の団体「王立協会」に年間65億円以上の公的資金が投入されています。

日本学術会議自体も、2000年から2002年に掛けて各国43のアカデミー(学術会議)を調査して「各国アカデミー等調査報告書」をまとめていますが、この調査によると、43すべてのアカデミーに公的資金が投入されていることが分かります。それなのに、デマまで流してわずか10億円の予算を批判した橋下徹。

結局、橋下徹は6日後の12日になって「これは説明不足だった。アメリカやイギリスでは、日本のように税金で学者団体を丸抱えすることはないが、学者団体に仕事を発注して税金を投入する」などと釈明のツイートをしました。しかし、このデマも平井文夫のデマと同様に、自民党応援団の皆さんによって、あたかも事実であるかのように拡散されました。デマ認定されてもすぐには修正せず、6日間も放置して、十分に拡散されてからコッソリと釈明する。目的は「日本学術会議の評判を悪くすること」なので、とても効果的な手口と言えるでしょう。

そして、この橋下徹と同じ6日に、日本学術会議に関するデマを流したもう1人の人物が、自民党の「口利き賄賂おじさん」こと甘利明でした。甘利明は6日付の自身のブログ「国会リポート第410号」の中で、「日本学術会議は防衛省予算を使った研究開発には参加を禁じていますが、中国の『外国人研究者ヘッドハンティングプラン』である『千人計画』には積極的に協力しています」「軍事研究には与しないという学術会議の方針は一国二制度なんでしょうか」などと述べました。

もちろん、こんな事実はありませんが、仮にも現職の閣僚経験者の発言ですから、これには自民党応援団の皆さんだけでなく、反中のネトウヨの皆さんも飛びつきました。そして「日本学術会議は中国政府に軍事協力している反日組織だ」という事実無根の誹謗中傷が、甘利明のブログをソースとして大拡散されてしまったのです。

さすがに、このデマにはマトモな人たちからの批判が相次ぎ、日本学術会議の大西隆・元会長も「日本学術会議は中国の千人計画とはまったく関係ない」と明言した上で、甘利明のブログの内容を「悪質なデマ」と断じました。すると甘利明は、ブログの「積極的に協力しています」という部分をコッソリと「間接的に協力しているように映ります」と書き換えたのです。自分がデマを流したのですから、きちんと謝罪して訂正するのが筋なのに、さすがは4年前の「口利き賄賂疑惑」の説明責任も果たしていない無責任おじさんですね。

そして、この姑息な「コッソリと修正」にも批判が集まると、今度は「『積極的に協力』と云う表現が適切でないとしたら『間接的に協力していることになりはしないか』と改めさせて頂きます。」などとアジのひらき直りを炸裂させたのです。大西隆・元会長は「(デマは)訂正されたが、そのまま受け取った方もいるようだ」と述べて、影響力の大きい現職の与党議員による悪質なデマの流布が野放しにされている現状を危惧しました。

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