誰の指令か?「学術会議は諸悪の根源」というデマを流布する人間の正体

km20201021
 

菅首相による日本学術会議の任命拒否問題が発覚し世論の反発が高まるや、突如として展開され始めた、議員や識者による同会議に対する批判。しかしそのどれもがデマや印象操作の類であり、誤った情報が拡散される原因となってしまいました。この流れについて疑問の目を向けるのは、人気ブロガーのきっこさん。きっこさんは今回のメルマガ『きっこのメルマガ』で、改めてデマや印象操作を検証しつつ、その「一斉射撃」がなされた時期から立てたある一つの仮説を提示しています。

デマによって延命を図る政権

10月17、18両日に実施された全国世論調査では、どの媒体の調査でも、菅内閣の支持率が10ポイント前後も大幅に下落しました。スタート時が「御祝儀相場」だったことを差し引いても、まだ所信表明演説も行なっていないのに、まだ国会も開催されていないのに、わずか1カ月で10ポイント前後も下落するなんて、これは異例中の異例です。

あたしの場合は、新しい首相が所信表明演説を行なう前に外遊へ行くという国民軽視の姿勢にも呆れていますが、今回の内閣支持率の大幅下落は、日本学術会議に対する菅義偉首相の任命拒否問題が主な原因です。今回の全国世論調査では、この問題に関する菅首相の説明について「十分だ」との回答が10%台にとどまった一方で、「不十分だ」との回答は70%を超えました。

そりゃそうでしょう。菅首相も加藤勝信官房長官も「総合的、俯瞰的に判断して」という意味不明の呪文を九官鳥のように繰り返すだけで、具体的な拒否理由をいっさい述べないのですから。逆に、これで「十分だ」と回答している人が10%以上もいることが、あたしは、総合的にも俯瞰的にもまったく理解できません。きっと妄信的な自民党信者なのだと思いますが、あの説明を「十分だ」と言うのは、あまりにも無理がありすぎます。

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しかし、今回の問題は、これだけでは終わりませんでした。口が裂けても「警察から上って来た情報を基に政権に批判的な6名を任命拒否した」とは言えない菅首相は、日本学術会議そのものを悪者にするという論点のすり替えを始めたのです。そもそも、憲法で保障された「学問の自由」に、時の首相が政治介入したということが問題視されているのに、日本学術会議を悪者にすることで「日本学術会議は問題のある組織なので任命拒否しても構わない」という方向へ持って行こうとするなんて、国民をバカにしすぎです。

百歩ゆずって、仮に日本学術会議に何か問題があったとしても、それと「任命拒否」とは全く別次元の問題です。しかし、菅内閣と自民党応援団の面々は、こともあろうに、日本学術会議を悪者に仕立て上げるために次から次へと悪質なデマを垂れ流し始めたのです。

その先陣を切ったのは、フジテレビの上席解説委員、御用コメンテーターとしてお馴染みの平井文夫でした。平井文夫は10月5日のフジテレビ『バイキング』で、日本学術会議の会員について「この人たち6年ここで働いたら、そのあと学士院というところに行って年間250万円の年金がもらえるんですよ。死ぬまで。みなさんの税金から」などと事実無根のデマを流したのです。番組では翌日の放送で男性アナウンサーが訂正しましたが、このデマは自民党応援団の皆さんによって、あたかも事実であるかのようにネット上に拡散されてしまいました。

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