菅政権の無責任。“Go To Hell”で国民を追い込む日本のお寒い現実

 

その中でも、特に緊急の支援が必要なのが「ネットカフェ難民」です。最低限の着替えなどを詰めたリュックを背負い、単発のバイトをしながらネットカフェに寝泊まりしているネットカフェ難民は、東京23区内の推移を見ると、民主党政権下の2009年から2012年までは2,000人以下で横ばいでした。しかし、厚生労働省の調査によると、第2次安倍政権下の2013年から2018年までの6年間で、4,000人超へと倍増しているのです。

2018年当時、安倍晋三首相は「アベノミクスによって雇用が380万人も増えた」とドヤ顔で繰り返していました。しかし、その実態は、竹中平蔵会長率いる人材大手「パソナ」を儲けさせるために、正規雇用を減らして非正規雇用を増やしただけでした。2018年の時点で、非正規雇用の割合は過去最高の37.8%、労働者の10人に4人が非正規雇用になってしまったのです。

その上、総務省が5年ごとにまとめている「就業構造基本調査」によると、非正規雇用の75%、4人に3人が年収200万円未満となってしまいました。この中には、毎日働いているのに賃金が低くて生活が成り立たない「ワーキングプア」も数多く含まれています。そして、そうした人たちの中で、家賃が払えなくなり、今回の事件の女性のように誰にも相談できなかった人たちが、1人、また1人と、ネットカフェ難民になって行ったのです。

新型コロナ禍の今年4月7日、安倍晋三首相が発令した「緊急事態宣言」によって、ネットカフェにも休業要請が出されました。東京都の小池百合子知事は、ネットカフェを最も休業要請期間の長い「ステップ3」に含めたため、4,000人を超える東京23区のネットカフェ難民は行き場を失いました。小池知事は批判を受けて緊急の宿泊場所を用意しましたが、この後手後手の付け焼刃的な対策で救われたのは、一部のネットカフェ難民だけでした。

いくら代替の宿泊場所を用意しても、新型コロナの影響で単発のバイトが激減してしまった彼らは、日々のバイトを得るための命綱だったケータイ料金が払えなくなり、ケータイを止められてしまったのです。これで、彼らは収入の道が閉ざされてしまいました。

今回の事件の女性は、追い詰められた果てに犯罪を犯してしまいました。しかし、それでも生きようとしました。もちろん、あたしは犯罪を奨励するつもりなどありませんが、仕事を失い、住む場所も失い、誰にも相談できない人たちの中には、自らの命を断つ道を選んでしまう人も少なくありません。

ここ数年、日本の自殺者の総数は減少傾向にありますが、年齢別、原因別の推移を見てみると、若者の自殺、貧困が原因の自殺が増えています。仮にも日本は名目GDPが世界3位の経済大国なのに、貧困が理由の自殺者が減らないのは、完全に政治の責任です。

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