「テスラの蓄電池パワーウォールは世界を変える」世界的エンジニアが評価するワケ

 

Tesla’s new battery cell is in development at Panasonic

テスラは、先日の Battery Day イベントで、より高性能な電池な “Biscuit Tin” と呼ばれる電池へのシフトを行うことをアナウンスしましたが(Elon Musk reveals new battery design with more range and less cost at Tesla Battery Day)、その時点では、テスラ自身が新しい電池を作ることになるという印象を受けた人が多いと思います。

しかし、この報道によると、パナソニックはあのイベントの直後から開発を初め、テスラ向けに “Biscuit Tin” を提供する体制を作る準備をしているとのことです。

実際にテスラと パナソニックの間でどんな話し合いが持たれたのかは不明ですが、テスラが重要な顧客であるパナソニックとしては、パートナーの地位を失いたくはないでしょうから、なんとしてでも新しい電池を作る立場に自分を置きたいと思うのは当然です。ひょっとすると、あのイベントは、動きの遅いパナソニックに対する、イーロン・マスクの牽制球だったのかも知れません。

ちなみに、あのイベントは期待されていた1 million mile battery (100万マイル走っても劣化しない電池)のアナウンスがなかったこともあり、あまり評判が良くなかったようですが、私は単にプレゼンのやり方の問題だと思います。

Tesmanianの「Tesla 3.25 Million-Mile Battery Could Already Be Here」によれば、テスラにとって1 million mile battery は十分に射程範囲内だそうです。それであれば、大風呂敷を広げるのが得意なイーロン・マスクが「2025年までに達成する」などと宣言しても不思議はありませんが、それをしなかったということは、

  • 解決しなければならない技術的課題がまだある
  • 株主に向けて調子の良いことばかりを言うことを今回は珍しく控えた

のどちらかだと思います。

image by: Ivan Marc / Shutterstock.com

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マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。IT業界から日本の原発問題まで、感情論を排した冷静な筆致で綴られるメルマガは必読。

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