狂気の沙汰。GoToトラベル継続で感染拡大を放置する菅首相の罪と罰

 

今のコロナ感染状況と経済

フェーズ3の地域が、札幌市、東京都23区、名古屋市、大阪市の4つ。しかし、GoToトラベルの規制は札幌市と大阪市だけであり、それも目的地としてのみで、出発はOKとしていたが、28日にやっと、出発も規制した。

地方経済の原動力を、製造業から観光業にシフトしたことで、それも海外からのインバウンドに頼った観光業で、かつ、その上に東京オリンピックまで誘致しての安倍政権の経済政策が大失敗になってしまった。

コロナで、すべてが裏目に出ている。五輪の海外からの観光客を目当てに、多くのホテルが作られたが、その多くが倒産の危機になっている。地方経済もそちらに投資を加速したが、それが裏目になっている。これにより、地方銀行も危ない。

やはり、地道に産業政策を打ち、製造業復活やデジタル化の推進をするべきであったのだ。特に、地道ではない安易な金融緩和政策に頼っていたことが大きい。と過去の話をしていても仕方がなく、今後、どうするかである。

おそらく、コロナ感染拡大の第3波は、1波や2波より相当大きくなり、その分、日本経済は大きなダメージを受けることになる。コロナの感染力が強いようで、死亡者数も大きくなっているし、医療崩壊で、コロナ以外の病気で死ぬ人も増えるはず。自殺者は特別給付などで救える道があるが、病気での死者を助ける方法は、感染拡大を防止するしかない。

このため、感染拡大で、フェーズ4になり緊急事態宣言となると、飲食業、観光業、鉄道・航空産業、地方交通などの広範な産業で、今まで以上の大きなダメージを受ける。

強烈な3波に対して、菅首相は対応が後手になっている。前回のこのコラムでの警告から2週間もたっているが、心配したように、状況は悪化の一途になっている。

早めの対策を打ち、フェーズ4になることを抑える必要があるのに、GoToトラベル規制地域を大阪と札幌だけにしている。

危機の時には早い対応が被害を少なくするという緊急時対応の基本を守っていない。

このため、札幌や大阪、東京、名古屋などがフェーズ4になることが想定できる。事実、フェーズ4に近い大阪では医療トリアージを開始したというし、11月26日には1日で12人も死亡している。全国の新規感染者も約2,600人に上った。27日、北海道は252人感染と過去最多の9人死亡、東京は570人感染で過去最多、愛知も234人感染で最多大阪は383人感染。

東京の重症者数は、東京独自の基準では67人であるが、国の基準では250人にもなる。全国の重症者数440人中、東京が半分を占めているのだ。27日の全国死亡者数は29人と非常に多くなってきた。

尾身分科会会長も「個人の努力だけでは、感染防止はできない状況になっている」と警告し、「問題の核心は、コロナではない一般の医療との両立が難しくなっていることだ」と述べ、医療現場の負担が急増する状況に強い危機感を示した。

そもそも、1日2,600人感染、重症者440人で医療崩壊を心配しなければならないということは、医療体制が欧米に比べて著しく脆弱だからであろう。

病床数は欧米と遜色がないが、ICUではドイツと比べると大きく劣っているし、病院を経営するためには、90%の病床を常に埋める必要があるという。コロナシフトで4月以降、手術が少なくなり、病院経営が赤字になっている。医療体制に余裕がないことを示している。

今後、医療体制の強化も必要になるが、現時点では、今の医療体制で乗り越えるしかない。

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