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なぜ社員が増えるだけで社内がグラつき不信や不満が充満するのか

ビジネスが軌道に乗り店舗数が増えてゆくのは喜ばしいことですが、思わぬ「困難」が待ち受けているケースも多々あるようです。そんな状況を「5店舗、7店舗の“壁”」と表現するのは、飲食店コンサルタントの中西敏弘さん。中西さんは自身の無料メルマガ『飲食店経営塾』で今回、なぜ「壁」が生じてしまうのかを解説するとともに、そんな状況に陥らないために普段から経営者が心掛けておくべきことを記しています。

5店舗、7店舗の“壁”

3~5店舗、そして、7店舗と店が増えていくと必然的に「人」が必要になります。そのため、中途採用をどんどん進めていくことになるのですが、この辺りから、それまで順調に会社が成長していたものが、停滞しはじめます。

創業時から経営者とスタッフが、夢と目標を語りながら同じ目標に向かって時間を共にします。これが「同じ価値観」を共有することに繋がり、同じ思いで同じ目標に向かって働くからこそ、それがお客様の笑顔につながり、結果、順調に売上が上がり、店が増えていくのです。

しかし、店が増えるとともに、徐々に人が増えだすと、そこに「今までにない価値観」が社内に流入してきます。

「他の会社ではこうだった!」
「こんなやり方はおかしい!」
「もっといい待遇で働けるはずだ!」

今までは考えたことのない価値観が社内に入ってくることで、「これでいいのか?」と会社内がバタついてくるのです。

同じころ、店が増えてくると、経営者自身もこれまでのように店でスタッフと一緒に働く時間が少なくなり、次第に話す時間も減り、スタッフと「共にする時間」が徐々に少なくなってきます。これがスタッフに「不安感」をもたらすようになります。

経営者自身は何も変わっていないのに、「社長は最近変わった。社長は何を考えているか分からない」なんてことを言いだすスタッフが出てきます。

そんな時に、ちょうど新しい価値観が社内に流入することで「これでいいのか?」「社長だけがいい思いをして、俺たちはもしかして損していないか?」という感情が芽生え、それが不安な精神状態から「不信感」「不満」へと変化し、最悪の場合、それまで一緒に頑張ってくれた古参社員が離職してしまうケースもあります。

こうなると、社内がグラつき始め、スタッフのやる気が低下し、結果、店の質が低下し、売上も徐々に低下するという事態を招いてしまうのです。こんな事態を招かないようにするには、「自分たちの価値観」を明確にし、これを皆で共有することが大切になってきます。

例え新しいスタッフが入ってきても、「他がどうであろうと俺たちはこうなんだ!この価値観に同意できないなら一緒に働けない」と、どんなに優秀なスタッフだったとしても、このような毅然とした態度で接したり、入社も断るぐらいの姿勢でいれば、会社がバタつくことはありません。

また、価値観や方針が明確であれば、古参社員も「不安」に感じることも少なくなるでしょうから離職も減らせますし、スタッフのやる気を削ぐこともありません。誰でもそうですが、自分たちの未来や会社の方針が不明瞭であれば、やる気はどうしても下がってしまいますよね。

だからこそ、経営者の仕事は、価値観や方針、自分たちの今後の進むべき道を皆に分かりやすいように明確に示すことが大きな仕事であり、これができなければ、経営者としての役割を果たしていないといっていいでしょう。

この価値観が、経営理念であり、行動指針であり、会社のビジョンなのです。

これを明確することを私は「軸をつくる」と表現しているのですが、「軸」がしっかりとしていれば、人や店が増えても一時的に会社や店が揺らいでも、「軸」に立ち返りさえすれば、店の売上が一気に低下する、店の質が一気に低下するといったことは避けることができるのです。

image by: Shutterstock.com

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若手飲食店コンサルタントとして、人気急上昇中の飲食店経営コンサルタント、中西敏弘が「売れる」飲食店作りの秘訣を論理的に、そして分かりやすく解説します。

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【著者】 中西敏弘 【発行周期】 毎週2回

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