「自衛隊はドラえもんのポケットじゃない」現役自衛官からの悲痛な叫び

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新型コロナウイルス「第3波」による感染拡大の影響で医療崩壊が懸念されるとして、大阪市と旭川市が自衛隊の看護官を派遣するよう要請し、政府も動き始めました。しかし、日本に現在16箇所ある自衛隊病院は一般市民にも開放し、コロナ患者の受け入れもおこなっているため、自衛隊側にも余裕がないのが現状です。メルマガ『NEWSを疑え!』を主宰する軍事アナリストの小川和久さんは、現役自衛官からの「自衛隊はドラえもんのポケットじゃない」という生の声を紹介。さらに、これを機会に陸上自衛隊を適正規模の25万人を目指して組織改編ふくめて国民に提起してはどうか、と菅政権へ提案しています。

自衛隊はドラえもんのポケットじゃないぞ!

医療崩壊の現実に直面して、北海道旭川市と大阪府に自衛隊の看護官(看護師)が派遣されることになりました。

「政府は7日、新型コロナウイルスの感染拡大で医療提供体制の逼迫(ひっぱく)が懸念されている北海道旭川市と大阪市に自衛隊の看護官を派遣する調整に入った。知事の要請を受けて派遣する見通しで、派遣人数を検討している。(後略)」(出典:12月8日付毎日新聞)

しかし、自衛隊側も余裕がないのは一般の医療現場と同じです。私も防衛省・自衛隊のOB組織「隊友会」の理事を務めていますが、OBのみならず、現役からも厳しい声が出ています。

「ドラえもんのポケットじゃあるまいし、自衛隊に頼めばなんでも出てくると思わないで欲しい。今回の事態を教訓に、病院の施設や装置はもとより、一朝一夕に育成できない医療従事者の確保にただちに取り組んで欲しい」

自衛隊の医療従事者(医官、歯科医官、看護官など自衛官)は、医官約1100人、歯科医官約253人、看護官など約1000人となっています。

さらに16個所の自衛隊病院(2021年に10個所に統廃合)には自衛官ではない看護師も勤務しています。

一部の自衛隊病院は一般市民にも開放され、コロナ患者の受け入れも行っています。

余裕のないことがおわかりでしょう。

今回は、その看護官のうち部隊など病院以外に配置されている人員から、派遣することになります。

そこで思ってしまうのです。

これを機に、菅義偉首相は特に自衛隊の基盤をなす陸上自衛隊について適正規模の25万人を目指し、組織改編を含めて国民に提起してはどうか、と。

25万人というのは、世界で6番目に長い日本列島の海岸線をもとに、大規模災害の時の最後の砦である陸上自衛隊に必要なマンパワーを弾き出したものです。

組織改編は、どんどん進む高齢化社会を前提とし、定年延長や女性の進出、ロボット化では対応できない限界を、発想を変えて乗り越えようというものです。

例えば、戦闘任務には従事しないけれども、特技で自衛隊を支える制度があってもよいのではないか。

IT分野や医療分野だけで勤務する人材は、心身の条件などに合わせた自衛官としての基本的な訓練は施しますが、あとの任務は災害派遣と有事にあたっての部隊などの警備に限定します。

このような条件であれば、人員の面から自衛隊の適正規模に近づけ、高齢化社会に対応することもできますし、今回のような事態にあたっても医療分野の人材の投入について、期待に応えられるのではないかと考えています。

きわめて大雑把な絵図面ですが、固定観念を棄てた発想の転換のもと、多様化する任務に対応できる組織を生み出すことができるのではないかと思います。(小川和久)

image by: Lance Cpl. Brandon Suhr, Public domain, via Wikimedia Commons

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地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。一流ビジネスマンとして世界を相手に勝とうとすれば、メルマガが扱っている分野は外せない。

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【著者】 小川和久 【月額】 初月無料!月額999円(税込) 【発行周期】 毎週 月・木曜日(祝祭日・年末年始を除く) 発行予定

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