乱暴に言うなら、 「お受験」 と 「ゲーム」 が、子どもたちの 「やる気」 と 「根気」 を奪っています。尊敬する脳科学者 豊田 誠さん と「なぜイマドキの大学生は、すぐやる→やり抜くことができないのか」 という議論をした時に教わったことをお伝えしましょう。
- 14歳までに脳を鍛えることが大切
- それまでに3年以上反復練習する「おけいこ」を成就させる
- 3年以上「おけいこ」を続けると脳が発火して体が自然に動く
脳を鍛えるというと「お受験」を思い浮かべる 方が多いかもしれません。しかし、豊田さんは、言葉を暗記する 「お受験」 より、カラダを動かして覚えこませる 「おけいこ」 が大切だとおっしゃるのです。
たしかに、 私が子供の頃は、お受験の塾通いよりも、みんな、 習字、そろばん、柔道、ピアノ、バレエといった、 カラダを使って反復練習するおけいこに通っていました。 私は、習字とそろばんを習っていましたが、たしかに、3年も続けると、自然に筆が動き、ソロバンをはじくことができました。
おけいこの種別よりも、 体得する経験こそが大切で、 3年の壁を越えて続ければ自然に体が動くようになるとわかれば、 大人になってから仕事の体得時にスランプで心が折れることも少なく なります。学校も会社もすぐやめてしまうイマドキの若者にならずに済むわけです。
つまり、私も含め、 昔の子供たちは「おけいこ」を通じて、脳と体を鍛え、めげないオトナになっていた のです。 習字とそろばんを使う機会はほとんどありません が、 もっと役立つ生き方の基本 を、私は身につけていたことに気づいて、両親に感謝しています。
「おけいこ」はどんなものでも良く 、大人になった時に続けられなくとも、将来役立たなくても良いので、 お子さんに選ばせればよい でしょう。
それならば、 ゲームをお稽古のように究めれば と思われるかもしれません。ところが、 地味なおけいこ を反復すると分泌される幸福を感じる 脳内麻薬物質セロトニン と、 ゲームで興奮 した時に幸福を感じる 脳内麻薬物質ドーパミン には作用に違いがあるようです。
セロトニンは、日々の単純な繰り返しで分泌 されるのに対し、 ドーパミンは、ガチャやお祭りのような非日常イベントで分泌され 「もっともっと過激なものを求める志」中毒性があると目されています。毎日、お祭りを続けていると、 ちょっとした日常的なことでは幸福を感じなくなってしまうのです。
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先日、地元 墨田区の工場巡りツアー をした時に、 「20年修行して一人前になれる」「もっとうまくなりたい」 と 笑顔で語る職人 に、 大学の教え子たちは仰天していました。きっと、 職人たちはセロトニンの出し方を体得 しているので、 地味な仕事を続けていても大きな幸福感を継続的に得ることができるのです。
即ち、 ゲームを与えても良いけれど、お稽古も3年以上続けなければ、ゲームをする時間を与えない、新しいゲームも買わないという約束 を、お子さんと両親の間でされてはいかがでしょう。だから 好きなおけいことゲームを選びなさいと、子どもに選択権を与え 、できれば おけいこもゲームも親子で一緒に楽しまれてはいかが でしょう。
「ああ、ゲームは楽しいね。でも今日はここまでにして、一緒におけいこを楽しもう」
こんな親子関係が最高だと思うのです。
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