「ルパン3世」「アタック25」から「大岡越前」まで。昭和の時代を彩った作曲家“ヤマタケ”山下毅雄の魅力

2023.01.26
by gyouza(まぐまぐ編集部)
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貴方は、作曲家・山下毅雄(やました・たけお)をご存知だろうか? 名前を聞いたことがない人でも、彼の作曲した音楽を聴けばピンとくるに違いない。

なぜなら、彼が遺したテレビの主題歌やCMなどの音楽は今も多くの人の記憶に刻まれているものばかりだからだ。

たとえば「タイムショック」「アタック25」「霊感ヤマカン第六感」などのクイズ番組から、時代劇「大岡越前」「江戸を斬る」「半七捕物帳」、TVアニメ「ルパン三世 (第1シリーズ)」「ガンバの冒険」「佐武と市捕物控」、ドラマ「七人の刑事」「プレイガール」「時間ですよ」などなど…「ヤマタケ」こと山下毅雄の手がけたテレビ番組の主題歌やテーマ曲は枚挙にいとまが無い。

 

ここで山下の経歴について簡単に紹介しよう。山下毅雄は1930年3月7日、兵庫県神戸市生まれ。慶應義塾大学経済学部の学生だった頃より、フルートに魅せられ、のちに妻となるピアニストのしげ子とであったことを機に深く音楽へ傾倒していった。

すでに慶應義塾高校在学中より仲間とともにオーケストラを組んで演奏活動を開始。そこには、小林亜星、林光、櫻井順、冨田勲ら錚々たるメンバーが所属していたという。

その後、独学で作曲を始め、次第にジャズやハワイアンに傾倒。NHK『学生の時間』で影絵劇の藤城清治の作品にて音楽を担当した際、これを観た作曲家の芥川也寸志から「あなたは音楽を書き続けなさい」と激奨され、本格的に作曲家の活動をスタートさせる。

その後6年間、レコード会社「ビクター音楽産業」の専属作家として意欲作を発表した。そして「スーパージェッター」「悪魔くん」「ジャイアントロボ」といったテレビアニメや特撮のほか「鬼平犯科帳」などのテレビドラマやバラエティ番組、映画、CM、舞台など、多くの音楽作品を手がけたことで知られている。

2005年11月21日、脳血栓のため横浜市内の自宅で死去。享年75歳。

こうしたテレビやCMなどで流れてきた“日本のスタンダード・ソング”たちは、昭和時代に「職業作家」と呼ばれる作曲家たちの手によって生み出されてきた。現代のように、自作自演の「シンガーソングライター」が持て囃される前の時代は、こうしたプロの作曲家たちが、歌謡曲やメディア向けのテーマソングなどを制作していたのである。

そんな「職業作家」たちの仕事が今、再評価されつつある。

世界的ヒットとなった松原みき「真夜中のドア」(1979)の作曲家・林哲司は、いずみたくや中村八大、すぎやまこういちといった往年の「職業作家」を今も深く敬愛しているという。また、鈴木慶一や井上鑑といった林と同世代の作曲家・アレンジャーたちも、60年代から70年代にかけてヒット曲を世に放った職業作家へ賞賛の言葉を惜しまない。

そんな「職業作家」のひとりである山下毅雄の貴重な楽曲群が、専属作家として当時所属していたビクターから発売されたという。一体どのような作品だったのだろうか?

参考資料:ビクター・トレジャー・アーカイヴス『山下毅雄ビクター・イヤーズ』ライナーノーツ(2022)

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