尖閣で中国を挑発した日本船の正体。裏で糸を引く自民極右議員の実名

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尖閣諸島周辺海域での中国船の動きをもって、明日にでも中国人民解放軍が日本に攻め込んでくるかのように煽る勢力や、政権を「弱腰」となじる右派議員たち。しかし実際のところは領海侵犯は増えていないという事実や、中国サイドが追尾する日本船の「正体」が国内メディアで報じられていないことはご存知でしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』では、ジャーナリストの高野孟さんが、中国公船が警戒追尾する日本漁船の正体と彼らをバックアップする政治家たちの実名を公開するとともに、中国船の領海侵犯が増加していないことを示す海上保安庁のデータを紹介しています。

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※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2020年12月21日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

右翼の尖閣紛争挑発に惑わされてはならない!――この問題は事実上の「棚上げ」を続けて塩漬けするのが一番

昨年5月以降、中国海警局の公船が尖閣周辺海域に出没する頻度が急増し、それに伴い中国公船が日本漁船を「追尾」して威嚇するケースもたびたび発生していると報道され、日本国民全体として中国による尖閣など日本に対する軍事的圧迫が一段と強化されているとの印象が広がっている。菅義偉政権は、その反中感情の広がりをほどほどに煽りつつ、尖閣に近い沖縄=南西諸島への陸上自衛隊配備を進め、またそれをバックアップするためのヘリ空母配備や事実上の「敵基地攻撃可能」な長距離ミサイルの導入計画などを進めようとしている。これを見ると、日中間の軍事的緊張がますます高まっていくことは避けられないようにも見える。

中国が警戒するのは「正体不明の日本漁船」

しかし、岡田充=共同通信客員論説委員のウェブマガ「海峡両岸論」No.121(20年12月9日発行)によると、中国公船が追尾しているのは普通の漁船ではなく、「右翼勢力のデモンストレーション船」であり、「活動家が上陸しないよう監視するのが追尾の理由」だと、在京の中国関係筋が非公式の場で岡田を含む全国メディア記者に説明してきているという。

海峡両岸論 王毅外相の「正体不明船」を報じないわけ 「対中弱腰」批判恐れるメディア

さらに、11月24日に来日した王毅=中国外相は茂木敏充外相との会談でこのことに触れ、これを「正体不明の漁船が敏感な海域に侵入している」ことを指摘したが、日本外務省もマスコミもそのことには一切触れていない。

外務省HPの11月24日付の公式発表「日中外相会談及びワーキング・ディナー」の第6項「海洋・安全保障」は、全文次のようである。

茂木大臣からは、尖閣諸島周辺海域等の東シナ海における最近の情勢を踏まえ、個別の事象にも言及しつつ、我が国の懸念を伝達し、海洋・安全保障分野について、中国側の前向きな行動を強く求めた。また、大和堆周辺水域における中国漁船の違法操業について、再発防止や漁業者への指導の徹底を改めて強く要請した。

 

双方は、これまでハイレベルにおいて確認してきた、東シナ海を「平和・協力・友好の海」とするとの方向性を改めて確認し、海洋・安全保障分野での取組を推進していくことで一致した。日中防衛当局間の海空連絡メカニズムに基づくホットラインについて、開設に向けた調整が進展していることを歓迎した。

これに対して、岡田が参照し翻訳した中国外務省サイトの王毅発言は次のようである。

中国は釣魚島の最近の状況に高い関心を払っている。事実は、最近一時期、日本の正体不明の幾つかの漁船が繰り返し頻繁に釣魚島の敏感な海域に進入しているため、中国は必要な反応をせざるを得ないということである。

 

  1. この問題について中国の立場は明確で、われわれは引き続き自らの主権を断固守ると同時に3つの希望を提起する。
    双方が中日間の4項目の原則的共通認識を確実に順守する。
  2. 敏感な海域で事態を複雑化させる行動を避ける。
  3. 問題が起きたら迅速に意思疎通を図り、適切に処理する。

 

中日双方は共に努力し、東中国海を真に平和の海、友好の海、協力の海にすべきである。これは中日両国人民の根本的、長期的利益にかなうものである。

さあて、ここで王毅は「日本の正体不明の幾つかの漁船」と言っている。どうして外務省も日本のマスコミもこの「正体」に触れようとしないのか。

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