あの日の日本と同じ。米株式市場IPOバブルが起きている真の理由

 

こんなバブリーな状況には手を出さないのが一番ですが、そんな中でも「この会社の株だけは長期保有したい」と思うケースはあります。そんな場合に、私がとっている作戦は以下の二つです。

一つ目はありきたりな手法ですが、ミニバブルの崩壊を待つことです。上のグラフを見ても分かるように、投機家がIPO株を短期の利鞘狙いで買い漁っている市場では、彼らが利食いをした時に株価が下がるので、そこで「納得出来る価格」まで下がったところで買いを入れるのです。

2012年にFacebookが上場した時の売り出し価格は$38でしたが、私から見ればそれは高すぎる価格でした。しばらく放置しておくと、株価がズルズルと下がり始めたので、$18まで下がった時に買いを入れ、それ以来保有し続けています。現在の価格($274)を考えれば、どちらでも同じだと思うかもしれませんが、同じお金で倍以上の株が変えたので、実際にはとても大きな違いを生み出しています。

この手法の欠点は、そのまま株価が上昇してしまい、買えなくなってしまう点です。私の場合、Googleがそんな株ですが、それはそれで仕方がないと割り切ることも大切です。

もう一つの手法は、少しリスクがある手法ですが、IPO初日に株を入手し、2~3日後に値下がりしたら買い増しをして平均価格を下げ(ナンピン買い)、逆に値上がりしていれば、一部を残して売却してしまう方法です。

私がc3.aiの株を入手する際に使ったのがこの方法です。初日に平均価格$95で入手し、2日後に少し値上がりしたところで($120前後)で約3分の2を売却しました。この操作により、残った株は、1株あたり約$57で入手出来た計算になります(2日で得た利益にかかる税金を考慮すると、もう少し高くなります)。

この手法でも、今ほどにIPO市場が加熱していると、どうしても「高値づかみ」をしてしまうリスクがあるので、あまりおすすめ出来る方法ではありませんが、「どうしても持っておきたい株」がある場合には使える方法です。

image by: Bart Sadowski / Shutterstock.com

中島聡この著者の記事一覧

マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。IT業界から日本の原発問題まで、感情論を排した冷静な筆致で綴られるメルマガは必読。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料で読んでみる  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 週刊 Life is beautiful 』

【著者】 中島聡 【月額】 初月無料!月額880円(税込) 【発行周期】 毎週 火曜日(年末年始を除く) 発行予定

print
いま読まれてます

  • あの日の日本と同じ。米株式市場IPOバブルが起きている真の理由
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け