笑ってはいられない「ガースー内閣」支持率どん底の深刻な裏事情

 

小泉は「構造改革」という本当は中身空っぽのスローガンと、親米というポジションで赤色のポイントを貯め込み、抵抗勢力叩きをやって更にポイントを貯め込み、結局は何もしないでポイントを抱えたまま引退してしまいました。安倍は、前述したように赤組ポイントを貯めては、中道政策をやって消費し、消費税を上げて消費しということで7年もやったわけです。

ところが、菅政権というのは、この「赤青バトル」でポイントを貯めるということができていません。そうしたポイント稼ぎには極めて淡白な感じです。ところが、反対に、解決すべき難問は山積しているのです。そして、どの難問も、赤組、青組のどちらも味方しない、孤独な道なのです。具体的には、このメルマガで何度も申し上げている、コロナにおける対策と経済の中間にある「誰も支持しない真空地帯」がそうですが、それだけではありません。

1.対中国、対北朝鮮ということでは、韓国との関係改善が必要だが、紅組は反対、青組は静観、バイデンの外圧は期待薄ということで、寂しい孤独な道が待っている。

2.バイデン政権の抱える左派はパレスチナ寄りの非介入主義、これと、トランプ派の非介入主義がシンクロする可能性としては東アジアがあり、ヘタをすると米軍プレゼンスの見直し論も出てくる。そうなると自主武装論だが、敵基地攻撃能力論とか核武装とか後先考えない赤組と、日米安保見直しで更なる軽武装化というお花畑の青組の間にある「実現可能な細~いライン」というのは、左右から砲弾飛び交う寂しい道。

3.トリチウム汚染水の海洋放出は、国策として決定したが、世論はおそらく「ついてこない」し、下手にやると韓国や台湾が、あるいはロシアが怒り出しそうで、これも孤独な綱渡り。担当大臣に政治生命を消費させて乗り切ることも無理そうで、総理のポイントを減らすことになるか。

4.脱炭素のタンカを切ったはいいが、これもEV化には原発稼働が必須で、そうなると赤組もついてこないし、青組は「絶対反対」のお祭り騒ぎとなり、手持ちのポイントはあっという間に消滅。寂しい孤独な道しかない。気がつけば、国内の自動車産業消滅という悲劇も。

5.コロナでインバウンド消費向けの経済と、出生率が相当に傷んでいる。短期対策は、何とかするにしても、中長期的な「巻き返し」にはカネが必要。そうなると、財政規律宗教の総本山を焼き討ちしないと無理だが、そんな兵力はなく、そうなるとGDPがさらに縮小し、孤独で寂しい道しかない。

整理していてどんどん陰鬱になるわけですが、本当に「世界に先駆けての課題先進国」とはよく言ったもので、本当に日本が直面する課題は大変です。

昔、亡くなった思想家というより文学者の吉本隆明さんが、国家権力は悪だが、例えば総理大臣というのがバケツの水汲み当番のようになって、仕事を淡々とこなすだけになれば、国家の危険性や暴力性は消滅する…正確な表現はともかく、そのようなことを言っていました。団塊世代の青春期には、そうした言い方が、理想論と思われていたのです。確かに、当時の国家権力は強力で邪悪だと思われていたからです。

けれども現在の状況で言うと、総理大臣というのは、バケツの水汲みどころか、「国民の皆さまがバケツの水汲みをなさって、びしょびしょになった泥道のぬかるみを、シャベルや素手で必死に泥まみれになって歩きやすいように直す」という縁の下の労働に成り果てています。

しかも、国民の方は赤組とか青組のバトルゲームをまだやっていて、その延長で、総理大臣をボコボコに叩いては、ストレス解消の道具にするということもある、そんな感じです。

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