笑ってはいられない「ガースー内閣」支持率どん底の深刻な裏事情

 

私が、石破茂とか、岸田文雄とか、あるいは枝野幸男といった人々、それから野田聖子とか、更には稲田朋美とかいう人々のことが信じられないのは、現在の日本の総理大臣というのは、本当に泥まみれになって「石つぶて」と罵声の飛び交う中で淡々とシャベルを使って、孤独な細い道を掘り続けるような仕事だということを「理解している感じがしない」からです。

コロナ対策で中央政府をチクチク「いじめて」喜んでいる大都市の「赤組ゲーマー」の諸兄姉がダメなのも同じです。都府県レベルなら、後に国が控えていますから、「いいとこ取り」が可能なんです。だったらお前がやってみろよという話ですね。

その点で、菅さんには、どこかで「最初から政治家というのは、泥まみれになって孤独な道を掘り続ける仕事だ」ということを(悪い意味、つまり過剰な自負も含めて)多少は理解している珍しい人材だと思うのです。

ちなみに、下村博文氏なども、そうした認識があると思いますが、下村氏の場合は、「人間社会はどうせみんな泥まみれ」という行き過ぎたニヒリズムを感じます。それでは、トップには向きません。まして先進国のリーダーとしては失格で、本人のためにも止めておいたほうがいいです。

少々放談に近くなりましたが、現在の支持率低下というのは、「会食してしまいました」問題にプラスして「ガースー」問題が加わって発生したわけですが、勿論、その背後にはコロナ禍の長期化による世論の疲労感というのがあるわけです。

ですが、その奥にはとにかく「解決不可能な問題」が山積しています。外交、安保、環境、エネルギー、どれも「最適解には支持はなく」、赤組も青組も実行不可能な罵声をゲーマーに浴びせるだけです。これが「2020年型のリーダー」が置かれた「初期設定」なのです。

そこから、どう菅さんが巻き返していくのでしょうか。勿論、メディアなどは、不敵な笑いを浮かべながら「ゲームオーバーに追い込んでやれ」と無責任な攻撃を仕掛けていますから大変です。ここをどう生き延びていくのかということです。

例えば河野太郎さんとか橋下徹さんとかの場合は、仮に自分が政権を取ったら「最高の技術を駆使して、思い切りポイントをかき集め、権力を集中して正面突破してやる」と思っているような感じがあります。サッチャーとか、リー・クワンユーみたいに「やっちまえ」というわけですね。

それも国難においては、全く否定はしません。ですが、菅さんの場合は、そこまでの大仕掛けはしないで、政策の効果を積み上げて何とか政権が続くだけのポイントを獲得して行きたい、そんな姿勢を感じます。どうにも周囲のブレーンが頼りない感じがしますが、当面、この路線でどこまで行けるかは、注視して参りたく思います。(メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』より一部抜粋・文中一部敬称略)

image by: 首相官邸

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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