夫婦の現在を調べると
Aさんは現在、関東某所のアパートに夫婦で暮らしていることがわかった。
近隣の住民に話を聞くと、このような証言が出てきた。
「男性が出入りするのはみたことがあるが、女の人は見かけない」
「男性はよくゴルフにでかけている」
「一年中、雨戸が閉めてあって不気味だ」
さらに聞き込みをしていくと、妙な証言が飛び出た。
「深夜にドンドンと音がして、女性の金切り声で『ごめんなさい』という声が聞こえたが、テレビの音かも知れないし、その1回だけだったので、変だとは思ったが……」
「今はついていないが、宝石店にあるような外付けのカギがついていた。あれは、中から開かない、外から閉じるカギだと思う。ずいぶん厳重だなと思った」
「女の人はみたことがある。頭を怪我しているようだったけど……」
「一度、警察が来たことがあるが、特に何もなく帰ったようだった」
相談の連絡をくれたAさんのご両親にお話を聞くと、一度警察に相談して訪問してもらったことがあるそうだ。ただ、その際、Aさんは「何も問題はない。もう関わらないでくれ」と言ったといい、身体検査も受けたが、特に怪我をしていることもなく終わったということであった。
その一方で、「絶縁だ」とも言われているそうである。
精神科医によれば、根の深いDVにおいては、マインドコントロールが出来上がると、暴力などで支配しなくても十分に支配ができている状態になるという。
一般的に、不条理なことを強要されたとしても、支配側の求めに応じてしまうということだ。
すでにそのような状態にあれば、被害者本人が自ら助けを求めることはないし、むしろ支配側との関係が壊れることを怖れるなど、心配する親などを敵視する、ということであった。