教員による児童や生徒へのわいせつ行為が相次いでいることを踏まえ、自民・公明両党の作業チームが1日、初会合を開いた。NHKなどが報じた。わいせつ行為で処分を受けた教員が、二度と教員免許を取得できないようにするため、法整備を急ぐとしている。
わいせつ教員の免許再取得を不可能に
議員立法を検討するワーキングチームは、文部科学行政や法務行政に詳しい両党の国会議員21人がメンバーで、自民党の馳浩元文科相、公明党の浮島智子文科部会長が共同座長を務める。
馳氏は「法整備に向けたハードルは高いが、実効性のある法律にするため、検討を進めていきたい」と述べ、新法の制定を念頭に議論を進め、今国会への提出を目指すとした。
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現在は懲戒免職で教員免許を失っても、3年経てば再び取得できることになっているが、わいせつ行為で処分を受けた場合は、二度と免許を取得できないようにしたい考え。
政府は昨年、わいせつ教員対策として無期限で再取得を不可能にすることを検討したが、職業選択の自由など個人の権利を制限することにつながるとして断念していた。
「もはや病気」わいせつ行為で処分される教員たち
文部科学省は2019年度に児童生徒らへのわいせつ行為やセクハラで懲戒免職になった公立小中高校、特別支援学校の教員は153人だったことを明らかにしている。
これは過去最多だった18年度の163人に次ぐ処分数で、このうち自校の児童生徒、卒業生などにわいせつ行為を行った教員は約8割の121人に上った。
文部科学省の発表によると、2019年度の国内の小学校の児童数は前年度比5万9322人減の636万8545人、中学校の生徒数は同3万3555人減の321万8115人となっている。
児童数は減少しているのに、わいせつ行為などで処分を受ける教員数はほぼ横ばい。すなわち、ハレンチ教師が増えているということを物語っている。
文部科学省は児童生徒に対するわいせつ行為は、原則として懲戒免職とするよう各教育委員会に指導していて、昨年9月までにこうした処分基準が全国で徹底されているとしている。
しかし、このような状態が続けば、教師に対する保護者たちの信用は失墜してしまうと言わざるを得ない。
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SNSを巧みに使ってわいせつに及ぶロリコン教師
教師によるわいせつ行為が減らない背景には、SNSの普及が関係していると指摘する声もある。
2019年度までの5年間で「懲戒処分を受けた496人のうち、少なくとも241人が教え子らとSNSなどで私的なやりとりを介して、わいせつ行為などを行っていたことがわかった」と読売新聞は報じている。
事務連絡の手段として学校現場で広く使われているSNSが、子どもたちへのわいせつ行為に悪用されている実態が浮き彫りとなっている。
文部科学省も「SNSの普及で教員と子どもが学校外でもつながりやすくなっていることが一因ではないか」と指摘。不祥事を起こす教員の若年化も進んでいることから、SNSとの因果関係があるといえそうだ。