日本人トランプ支持者らの哀れな大誤解。自称保守派がアッサリ騙された理由

 

タイミング的に2020年末から2021年の年初にかけて、日本ではかなり盛り上がったというのには、安倍政権が退陣したということもあるかもしれません。安倍政権というのは、奇妙なほど保守から信用されていて、そのために、左派が安倍政権を叩くと、日本の保守派は過剰なまでに反発していたのでした。

そこで「アベガー」組との勝負事で、イデオロギーのゲーム中毒症状がある程度は、解消できていたわけです。ところが、菅政権というのは相当にノンポリですから、菅防衛戦を戦ってスカッとするという効果はまるでありません。そこで、わざわざ外国のことながらトランプの「言霊」を太平洋を越えて引っ張ってきて、憑依してもらうというヤヤコシイ話になっているのだと思います。

それにしても、安倍さんがトランプの盟友という理解もあるわけですが、冗談ではありません。私は第一次政権の際のワシントンとのギクシャク以来、安倍さんは全く買っていませんが、少なくとも安倍式の日米外交というのは、オバマとの枢軸で、中国とのリバランスに乗るというのが本筋と思っています。

ですから、それをぶっ壊して来そうな「サプライズ当選」したトランプの存在というのは、大変な脅威だったわけです。2016年11月の極めて早期の段階で、これは外務省と官邸のファインプレーだと思いますが、中南米出張の途中で立ち寄ったという格好で、「安倍=トランプ会談」がセットされたのは、とにかくトランプという脅威への危機感があったからです。

日本にとってトランプの脅威は明白でした。まず、2015年から16年の選挙戦を通じて「日本と韓国には米軍駐留費を全額負担させる。カネを払わないなら米軍は撤退だ。その代わりに日韓には核武装を認めてやる」という奇怪な「東アジア政策」を吹いて回っていました。しかも、怖いのはこの言い方について、何度も何度も公言しているばかりか、全く「ブレて」いないのです。

駐留費の話はまあ「アメリカ・ファースト」の態度の延長で出てきた「カネの話」ということで理解ができます。ですが、日韓核武装というのは穏やかではありません。というのは、その裏に3つの思惑があるからです。1つは、北朝鮮との核のバランスを日韓で、いや日本だけで受け止めてくれという意味。2つ目は、中国に対する核バランスも自分でやってくれという意味。3つ目は、核武装に関する技術移転はしないので、カネを出してアメリカの技術を売りつけようという魂胆、この3つです。

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