これに加えて日本のトランパーは、同じアジア人でも中韓の人々を見下しています。その延長で、何となくトランプとその支持者は、中韓は「バカにしてくれる」が、日本人は「名誉白人」のように思ってくれていると思い込んでいるようです。これは大変危険な誤解です。アジア系へのヘイトへの危機感が薄すぎると言えましょう。
トランプ派は、基本的に排外主義であり、人種差別的であり、したがって今回のコロナ禍の中では、アジア系へのヘイトをやっているのも、基本的にトランプ派か、それに近い連中です。そして、日本人も散々そのターゲットになっているのです。この点について、認識が甘すぎます。
そもそも、極右的発想法というのには国境を越えた友情などというものはないのです。「おう、お前も「自国ファースト」か、俺もだ、仲良くしようぜ」などという「意気投合」というのは絶対に起こらないのです。何故なら、「自国ファースト」はあくまで「自国だけ」がファーストだからです。
歴史を見ても、例えばムッソリーニはヒトラーを嫌っていましたし、ヒトラーはムッソリーニをバカにしていました。ヒトラーのことを「格好良い」などといって心酔していたのは、松岡洋右ぐらいで、その松岡はスターリンにも心酔して、日ソ不可侵条約を結び、国家丸ごと騙されるという醜態を演じたわけです。
とにかく、日本のトランプ現象は見過ごせません。言っても聞かない連中だから、華麗にスルーが吉、という話では済まされないものを感じます。(メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』より一部抜粋)
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