日本人トランプ支持者らの哀れな大誤解。自称保守派がアッサリ騙された理由

 

要するに、アジアの対立構図を当事者間でやってもらって、しかもそこに商機を見ているという極悪政策と言えます。全くもって、日本の国益という立場からは脅威そのものです。だから、わざわざ「黄金のゴルフクラブ」を土産に安倍さんはトランプタワーに乗り込んだのです。「安倍=トランプ」蜜月という形容がありますが、こればかりは安倍さんに対して失礼というものです。

もう一つ、対中政策への誤解の問題があります。日本のトランパーは、トランプが香港における中国の強硬政策に抗議しているし、ウイグル問題なども人権を重視しているとしています。そして、このことを否定している池上彰氏のことを「フェイクニュース」だとして罵倒しているわけです。

しかし、これは誤解です。トランプの中国政策というのは、複雑な話を自分で言うのが面倒なので、ペンスに代弁させており、「ペンス・ドクトリン」という名前で国際社会では有名です。ペンスはこの「ドクトリン」を宣言するために、2回も大きな演説をしています。

この「ペンス・ドクトリン」つまり当時のトランプ政権の中国政策というのは、「人権や軍事の問題を、通商交渉の道具にする」というものです。そして、ブッシュやオバマの対中政策を罵倒していました。ペンス、つまりトランプ政権の理屈というのは、ブッシュやオバマは人権問題を棚に上げて、グローバル経済における中国との協調をしていたので、それはアメリカの国益を損なったというのです。

ですが、自分たちは人権や軍事を通商交渉のカードにする、つまり通商交渉で良い条件を引き出すまでは人権、つまりウイグルや香港の問題、そして軍事、つまり尖閣や南シナ海の問題で徹底的に中国を追い詰めるというのです。

一見すると、中国と「戦ってくれている」ので、日本の保守派から見るとカッコイイわけで、だからこそ「トランプ様バンザイ」とか「バイデンは中国に弱腰」などというスローガンを叫ぶと、ストロングを一気に呑んだような爽快感を感じるのでしょう。ですが、全くの間違いです。

人権や軍事を通商交渉のカードにするというのは、仮に「アメリカ・ファースト」の観点から満足できる段階まで、中国が通商交渉で譲歩しそうな気配を見せたら、その時には香港もウイグルも、場合によったら尖閣も南シナ海も「交渉カード」にしてしまうということです。つまり、何が何でもウイグル、香港、尖閣、南シナ海で徹底的に対決すると言う姿勢では「ない」のです。

交渉の「カードにする」というのは、そういう意味です。ですが、そうした批判をすると、面倒だし複雑なのでトランパーは聞く耳を持たないわけです。ですから、結果的にトランプの術中にはまってしまい、アッサリと騙されるというわけです。

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