途中、タクシーの運転手さんも協力してくれて駅にチケット予約の電話をかけるもやはり車や飛行機移動をあきらめ列車移動をしようとしている現地のひとたちが多いのか、電話はまったく通じず、とりあえず駅へ。駅に到着し、チケット売り場に並び、我々の順番が来たので、カウンターで
次のボストン行き二人分お願いします。
予約はありますか?え、ない?そうですか、では今日の便はすべて満席なので明日以降の便になりますね。
え? そうですか・・・では、明日の一番早い便は何時出発で、席は空いてますか?
ええ、午前3時15分の便になります。席は空いてますよ。
う~~ん、今が午後4時過ぎだから、次の便まで約11時間かぁ……
と、わたしが迷っていると、
よし、その便で行こう!市内観光も楽しめるしいいじゃない。
と社長。
それから先はもうわたしも開き直りです。めったに来ないワシントンDCを11時間、めいっぱい楽しもう!と気持ちを切り替えて、ふたりで美味しいステーキを食べ、夜のホワイトハウスの周りを散歩し、最後は、駅の構内のベンチで疲れ切って2時間ほど仮眠し、ようやく出発。途中、バルチモア、フィラデルフィア、ニューヨークを経由し、ニューヨークからボストンへは東海岸のきれいな海岸線に沿って北上。ボストン便がキャンセルになったお陰で、めったにできないアメリカ東海岸の列車の旅を楽しむことができたのです。
人間ですから、そりゃ、腹のたつこともあります。でも、いつまでも、腹の立つことに固執していても、何の解決にはなりません。もし、ワシントンDCの空港でわたしがごり押しして席を確保できていたとしても、冷静に考えると、そこには、誰かの犠牲が不可欠だったのです。香港空港で、ふたりの女性の抗議のために出発時間が30分も遅れて他の客みんなが迷惑を被ったように。