トヨタが開発中の「水素エンジン」車、新聞が報じた製品化への懸念点

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トヨタ自動車は、5月21日から23日にかけて富士スピードウェイで行われる「24時間耐久レース」に、「水素エンジン」を搭載した車両で参戦すると発表。電気自動車や燃料電池車同様、走行時に二酸化炭素を排出しない「水素エンジン」自動車について、メルマガ『uttiiの電子版ウォッチ DELUXE』著者でジャーナリストの内田誠さんが過去の新聞記事をチェック。以前マツダが実用化し、自治体などにリース販売をするも、現在は研究も中止していることから、明らかになっていない課題を探っています。

「水素エンジン」について新聞はどう報じてきたか?

きょうは《朝日》から。水素エンジン搭載の車をトヨタがレースに出して、長期的に開発していくといいます。菅首相の「46%発言」とリンクしていそうで、随分手回しの良いことだなあという感じもしますが、ちょっと唐突感のある「水素エンジン」について、検索を掛けてみましょう。

《朝日》のデータベース上、サイト内には10件の記事がありました。1年間の紙面掲載記事の中には、きょうのものしかありませんでした。よって、サイト内10件を見てみましょう。その前に、まずは今日の記事から。《朝日》7面の記事、まずは見出しから。

水素エンジン レース参戦
トヨタ、既存技術生かし「CO2ゼロ」

トヨタは、水素が燃料で二酸化炭素を出さない「水素エンジン車」で24時間耐久レースに参戦すると発表。水素エンジンは、「既存技術が活用でき、低コストで「CO2ゼロ」が期待される」として、レース参戦によって長期的な開発に取り組むという。

●uttiiの眼

要はガソリンの代わりに水素を燃やしてエネルギーを得て走るクルマということ。内燃機関としての仕組みは基本的に同じで、燃料がガソリンから水素に変わるだけ。ところが、記事も指摘しているように、排ガス中に窒素酸化物を含むという大問題がある。さらに、記事は指摘していないが、CO2を出さないのは「走行時」の話であって、製造時、廃車時はもちろん、新たに用意しなければならない「水素供給インフラ」の建設や稼働に伴うCO2排出はどのくらいになるか分からない。

記事からは全く分からないが、水素を充填するタンクの製造あるいは水素エンジンにしか必要でない特殊な部品などの製造に、CO2排出はもちろん、特別な金属などが必要だったりしないのかどうかなど、疑問も多い。

正直、「水素エンジン」はノーマークだったので、やけにシンプルな「正解」があったのだなあという不思議な気分だ。技術的なハードルは一つ一つ乗り越えていくのだろうが、その際に、その問題がどのような類いの問題なのかについては、是非知っておきたいと思った。

【サーチ&リサーチ】

2016年11月5日付
朝日小学生新聞の予告記事の中で、「水素は最近、「水素エンジン自動車」や「水素社会」といった言葉が話題になるなど、改めて注目されています。水素をエネルギーとして使うだけでなく、作ったりためたりする技術向上の必要性も指摘されています」と。この年は水素発見から250年という。

*この「水素エンジン自動車」は、今日のニュースに出ているのと同じものなのか疑問。燃料電池車のことではないかと思うが、それ以上の説明がないので分からない。

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