年代によっては、お笑い芸人というよりもユーチューバーとして人気の“エガちゃん”こと江頭2:50が、体調不良を理由に活動休止を発表し、世間を驚かせました。メルマガ『井上公造の「とっておき芸能情報+LIVE」』では、元デイリースポーツ記者で芸能リポーターの中西正男さんが、エガちゃんの周辺を取材し活動休止に至った本当の理由に迫ります。明らかにするのは身体的な疾患ではなく心の問題。真面目なエガちゃん故に起きたこととしながらも、多くのユーチューバーが囚われ逃れられない現実があることを伝えています。
中西正男の「マル秘取材メモ」:江頭2:50休養から垣間見えるYouTubeの現実
タレント・江頭2:50が体調不良で活動を一時休止することが発表された。今や登録者数234万人のトップユーチューバーでもあるだけに、活動休止の衝撃も大きかったが、取材する限り、内臓疾患や外科的な不具合があるということではない。端的に綴ると、“心が疲れた”というのが正確なところのようだ。
極めて強いプロ意識
各所から聞いた話をまとめると、以下のようなものになる。
- 番組に対する“疲れ”は、少なくとも半年以上前から周囲に漏らしていた。心の疲れに関してはそれよりも前から露呈していたという声もある。
- 要因として考えられるのがYouTubeの特性。江頭ほどのトップユーチューバーになると、頻繁に動画をアップしないといけない。しかも、YouTubeは刺激の積み上げによって視聴者数を得るのが一般的なため、前回の動画よりさらに強い刺激のものを更新しないといけない。
- 江頭は元来プロ意識が極めて強く、いい加減なことはできない性格。必ず自分が体を張り、手を抜かずにやる。だからこそ、江頭のYouTubeは芸人の視聴率が異常に高い。ソムリエが選ぶワインバーみたいなもので、プロが見ても「ここまで頑張っているのはすごい」と思えるクオリティー。その中で、さらに強い刺激を作り続けるという疲弊(ひへい)の積み重ねが、今回の流れを招いたと言える。
数も企画も飽和状態
江頭の真面目さ。頻度と刺激を両立し続けないといけないYouTubeの宿命。その2つが合致した結果、今回の流れにつながったというのが、僕が取材したこのニュースの核の部分だったが、他方からこんな声も聞こえてきた。
「今回のことは単に江頭さんだけにとどまらず、YouTubeの1つの限界点を示しているという話もあります。数的にも飽和状態。企画も飽和状態。でも、スタッフさんを抱えているし、やめるわけにはいかない。いったん走り出したら走り続けるしかないYouTubeの仕組みへの“疲れ”があらゆるところに出ています。なので、自分が前に出ることはやめてチャンネルやプラットフォーム、ノウハウを販売して、YouTubeの最前線からは足を洗う。そういう動きも各所で増えています」(映像制作ディレクター)。
昨今、ユーチューバーが子供たちの憧れの職業と言われているが、言わずもがな、人の何倍も稼ぐ仕事が楽なわけがない。そして、どんな業界であれ、注目→人気→飽和→衰退のサイクルに飲み込まれるパターンが圧倒的多数。今回のニュースは江頭個人の話のみならず、実は、奥行き深くあらゆるものをあぶりだすものだと感じた。
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