朝日新聞の元校閲センター長が伝授、飽きさせない文を書く方法は?

 

ところが、ウェブの場合はこの制限がありません。原稿は何文字でも書けます。ウェブの原稿は2000~3000字というものも多いのですが、読み手が途中で飽きてしまう場合もあります。新聞社に入って、原稿を書くときの心得として聞かされたのは、「10を知って1を書く」とか「10取材して1を書け」というものでした。つまり原稿にするためには、取材を重ねてエビデンスが取れたものだけを書け、ということなのだろうと思います。往々にして内容の薄い原稿は「1を知って10を書く」類のものが多いのです。

まとまった文章を書こうとするなら、まず800字を目標にすべきだと思っています。400字詰め原稿用紙2枚です。実際に書いてみると、殊の外分量があることがわかると思います。しかし「起承転結」を利用すると、比較的楽に書けるようになります。

「起承転結」は、もともと漢詩の構成法の一つです。これを内容としてではなく、分量の目安として使うのです。「起承転結」を元に800字を4部構成に分けます。すると1部200字です。200字は、400字詰め原稿用紙で10行です。単純に10行ずつの固まりで書けばいいということになります。

ところが、書き出し(起)と結論部分(結)部分は、それほど長くなくてもいいので5行(100字)程度にします。そして、本来伝えたい内容を詳しく説明する「承」と「転」の部分を15行(300字)ずつにしてたっぷり書き込みます。5行、15行、15行、5行という配分にして書き始めればいいのです。こうしたことを考えず書き出すと、書き出し部分だけが長くなって結論を書くスペースがなくなったりするのです。1000字なら5行、20行、20行、5行といった目安を立てます。

与えられた字数を闇雲に埋めるのではなく、全体の構成を4ブロックに分けていくと、字数に惑わされにくくなります。これは入社試験の論文など、限られた時間に文章を書かなくてはならない場合などに、有効なテクニックになると思います。ぜひ試してみてください。

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未來交創株式会社代表取締役/文筆家 朝日新聞 元校閲センター長・用語幹事 早稲田大学卒業、事業構想大学院大学修了 十数年にわたり、漢字や日本語に関するコラム「漢字んな話」「漢話字典」「ことばのたまゆら」を始め、時代を映すことばエッセイ「あのとき」を朝日新聞に連載。2019年に未來交創を立ち上げ、ビジネスの在り方を文章・ことばから見る新たなコンサルティングを展開。大学のキャリアセミナー、企業・自治体の広報研修に多数出講、テレビ・ラジオ・雑誌などメディアにも登場している。 《著書》 『マジ文章書けないんだけど』(21年4月現在9.4万部、大和書房)、『きっちり!恥ずかしくない!文章が書ける』(すばる舎/朝日文庫)、『漢字んな話』(三省堂)など多数。

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