国民を操作したいだけ。文科省が高校生へ課した宿題「夢実現計画」のバカらしさ

 

そもそも計画を立てて、その通りに実現する夢などは夢ではない。なんでそんな詰まらない計画を立てさせるのかというと、権力が嫌がる夢を潰すためとしか思われない。たとえば、「自公維新が推進している金権政治を潰したい」との夢を描いて、そのための計画を書いても、文科省に支配されて頭が腐っている教師は、良くて黙殺するか、もっと現実的な夢を考えなさい、といって指導するんでしょうね。昔だったら、「そんな夢のようなことを言ってんじゃねーよ」と一喝されるところだけれどね。もともと夢について書くのに、夢のようなことを書いてもかまわないという理屈は通用しないのかもね。

国立大学は2004年から法人化されたが、法人化になりそうだという頃に、山梨大学の評議員をしていた私は、これは悲惨なことになると分かっていたので、面倒くさいから辞めちまおうかと思っていた。評議員の中には法人になった方が自由になるとか、能天気な夢を語っていた人もいた。戦後、文部省や文科省主導の教育改革で、事態が良くなった試しは一度もないのに、一部の人は、考えられうる限り最良の未来を夢見るのは、なぜだろうね。不思議だ。悪い未来を考えるのが怖いのかしらね。

そんな折、偶々甲府駅のホームで、早稲田大学の商学部の教授であった桜井洋さんと出会った。桜井さんは山梨大学の助教授から早稲田大学に転出された社会学者で、山梨大学時代は結構親しかった。『国立大学はそろそろヤバそうなので、辞め時かなと思っている』と話したら、早稲田大で2004年度から開設する新学部(国際教養学部)に移らないかと誘ってくれた。桜井さんは新学部の創設準備委員会の副委員長だったのだ。

お世辞半分だと思っていたら、どうやらマジで、とんとん拍子に話が決まって、2004年度から早稲田に勤務することになった。あたかも計ったかのように、早稲田大に移ったけれども、甲府駅で桜井さんに会わなかったら、そんな話にはならなかったので、これも偶然の僥倖だ。

私は極度の面倒くさがりで、自分から積極的に動くことは滅多にないので(女房を口説いた時は唯一の例外だ)、自分の就職も本の出版も、自分から積極的に頼むというより転がり落ちてきた話なのだ。自分の子供や友人に関しては、出版や就職をずいぶん頼んだ覚えがあるけれどね(首尾よく行った試しは滅多にないが)。だから、自分自身に関しては、良いことも悪いことも、自分が計画を立てて、どうにかなるという考えがないのだ。行き当たりばったりで生きていても人生何とかなることもあるし、計画を立ててもどうにもならないこともある。(メルマガ『池田清彦のやせ我慢日記』より一部抜粋)

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