五輪開催「G7全首脳が強い支持」と大嘘を吐く菅首相の厚顔無恥

 

ま、読売新聞が自民党政権にゴマスリするために、世論調査の設問に偏向的な選択肢を並べるのは今に始まったことではありませんが、この厚顔無恥な世論調査の報道の翌日6月8日(火)、今度は産経新聞がやってくれました。6月8日の深夜、「Yahoo!ニュース」のヘッドラインに次の見出しが踊ったのです。

接種 目標の「1日100万回」達成

この見出しを見た人は、菅義偉首相が目標に掲げていた「1日100万回」という新型コロナのワクチン接種が、早くも達成できたのだと思ってしまいますよね。もちろん、あたしもそう思いました。しかし、この日の昼間、あたしは「国が設置の大規模接種センター 東京と大阪で予約枠の8割残るガラ空き状態」という別の報道記事を読んでいたのです。

こちらの記事によると、菅首相が鳴り物入りで設置した東京と大阪の大規模接種センターの予約が遅々として進まず、これまでの予約数は東京が14万人の枠のうち1万5,000人、大阪が7万人の枠のうち1万3,000人で、全体の9割近い18万人分以上の空きがあるとのこと。その上、予約したのに接種に来ない人が7日までに4,000人を超えており、予定通りに接種が進まないとして、岸防衛大臣は8日、東京と大阪の高齢者に予約を呼び掛けたとのこと。

こんな記事を読んだ日の夜に「1日100万回を達成」などと報じられても、にわかには信じられませんよね。それで、該当記事をクリックしてみると、やっぱり自民党政権の広報紙、産経新聞でした。そこには、次のように書いてあったのです。

首相官邸は8日、新型コロナウイルスワクチンの接種回数が7日時点で1,834万8,184回に上ったと発表した。前日比109万3,504回増で、発表ベースで菅義偉首相が目標に掲げた「1日100万回接種」に達したことになる。

はぁ?「前日比」とか「発表ベース」とかって何ですか?本当に目標を達成したというのなら、言い訳がましいことをゴチャゴチャ並べ立てずに、単純明快に「目標達成」と報じればいいじゃないですか?…ということで、この産経新聞の報道がどうしても信用できなかったあたしは、さっそく首相官邸のHPの日別のワクチン接種数を確認してみました。すると、過去最多が5月31日の「75万1,372回」でした。

それで、いろいろと調べてみたところ、この謎はすぐに解けました。通常は前日に各自治体などから報告された接種数を国が合計して翌日に発表していますが、自治体によっては、土曜日と日曜日の接種数を週明けに、月曜日の分とまとめて報告するところが少なくないのです。そのため、毎週火曜日に発表される「月曜日の接種数」だけが、他の曜日よりも多くなっていたのです。

産経新聞が、この裏事情を知っていたのかどうかは分かりませんが、わざわざ「前日比」だの「発表ベース」だのと言い訳をした上で「1日100万回を達成」と報じたのは、後手後手と批判されている菅政権の新型コロナ対策に助け舟を出し、東京五輪の予定通りの開催へと弾みを付けようとしたのではないか、と勘ぐってしまいます。

事実、この翌日の6月9日(水)、2年ぶりに行なわれた党首討論で、菅首相はワクチン接種について「8日は100万回を超えて来た」と胸を張りました。速報でもないのに、産経新聞が「8日の深夜」という不自然な時間に提灯記事を配信したのは、もしかすると翌日の党首討論に間に合わせるためだったのかもしれません。

しかし、数字上のイカサマは、すぐにバレてしまいます。あたしと同じように、産経新聞の報道に疑問を持った各媒体が詳しく調査し、8日だけ接種数が急増したカラクリを次々と報じ始めたのです。そのため、菅首相の防波堤、加藤勝信官房長官は「接種記録を後日まとめて入力する自治体もあるため、まだ1日100万回の接種には達していない」と述べ、菅首相の発言を慌てて訂正しました。

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