五輪開催「G7全首脳が強い支持」と大嘘を吐く菅首相の厚顔無恥

 

さて、便宜上、時系列が前後してしまいますが、党首討論の前に菅首相を持ち上げておこうと考えるのは、当然、読売新聞も同じです。党首討論の当日6月9日の朝、「Yahoo!ニュース」のヘッドライトに次の見出しが表示されたのです。

G7首脳宣言 五輪開催支持明記へ

あたしは、産経新聞の「1日100万回達成」以上に驚きました。欧米を中心に、多くの国々が東京五輪には批判的なのに、こんなことは信じられません。そして、急いで記事をクリックして読んでみると、これがとんでもない内容だったのです。この読売新聞のトンデモ記事に関しては、当日の朝のTBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』の「朝刊読みくらべ」のコーナーで、森本毅郎さんが鋭いツッコミを入れていましたので、以下、その部分を文字起こしして紹介します。

森本毅郎さん 「今日の読売新聞の一面はですね、こういう見出しです。『G7、五輪開催支持へ』、これ、びっくりしませんか?」

遠藤泰子さん 「は、はい」

森本毅郎さん 「あっ!(G7は)支持なんだ!と思いました」

遠藤泰子さん 「はい」

森本毅郎さん 「実は、これはですね、11日から13日の日程でひらかれるG7、そこで首脳宣言に、東京オリンピック・パラリンピック開催への支持を明記する方向で調整してもらおうと、日本政府が支持を取り付けて開催への機運を高めたい、こういうことなんですよ」

遠藤泰子さん 「ほうほう」

森本毅郎さん 「それなのにね、何かもうG7が支持しちゃったようなタイトルじゃないですか?これはね、いくら新聞が前のめりと言ったって、ちょっと(読者が)騙されるんじゃないかと私は思います。やり過ぎなんじゃないかと思うんですが、どうなんでしょうね?」

…そんなわけで、6月13日夜にイギリスはコーンウォールで開催されていたG7サミットが閉幕すると、日本の各紙は「東京五輪がG7で支持された」と報じ、媒体によっては「対中政策」と同列に首脳声明に盛り込まれたかのように報じました。また、同行した記者団による記事では、閉会後の菅首相の次のコメントが報じられました。

「(東京五輪の開催について)全首脳から大変力強い支持をいただいた」

「私自身、改めて主催国の首相として、こうした支持を心強く思うとともに、東京大会をなんとしても成功させなければならない。しっかりと開会をし、成功に導かなければならない。そういう決意を新たにした」

世界中がこれほど大変な時に、東京五輪のことなど考えている首脳は、世界中で菅首相1人だけだと思っていたあたしは、これらの報道が信じられませんでした。そこで、採択されたばかりの首脳声明のフルテキストをさっそく読んでみることにしました。今回の首脳声明は全部で70の項目があり、やたらと長い上に、辞書を引かないと分からない専門的な単語も多く、全文を読むのに2時間以上も掛かってしまいました。

ザックリ説明すると、70の項目のうち、1~5は「前文」、6~18は「新型コロナ対策」、19~26は「新型コロナからの景気回復」、27~30は「フェアトレード」、31~36は「将来的展望」、37~43は「気候変動と環境問題」、44~47は「男女平等」、48~69は「国際的な問題」、70が「まとめ」でした。全文を読んだあたしの感覚では、菅首相以外のG7の各首脳が最も重要だと考えているのは「新型コロナ」と「国際的な問題」、次いで「気候変動と環境問題」という印象を受けました。

「国際的な問題」は、ロシアの問題、ウクライナの問題、ベラルーシの航空機強制着陸の問題、エチオピアの紛争と飢饉の問題、アフガニスタンの問題、朝鮮半島の非核化の問題、ミャンマーの軍事クーデターの問題、イランの核開発の問題などを始め、数々の問題を項目ごとにまとめてあるため、48~69と項目数が多くなっていました。しかし、全部で70の項目があるうち、69まで読んで来ても、どこにも「東京五輪」のことなど書かれていませんし「オリンピック」の「オ」の字もありませんでした。

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