北朝鮮が巨費を投じて作った大量の反韓国ビラの「マヌケな中身」

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以前掲載の「マスメディアが伝えないビラの内容。金与正が激怒した本当の理由」等でもお伝えしたとおり、南北間の火種のひとつとなっていた、韓国の脱北者団体が北朝鮮に飛ばしたビラですが、北朝鮮サイドも報復の準備を着々と進めていたようです。今回のメルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』では北朝鮮研究の第一人者である宮塚利雄さんが、中国共産党機関紙や北朝鮮の国営通信社が「南北ビラ戦争」について報じた内容を紹介するとともに、慢性的な食糧難に喘ぐ国民を顧みることなく、「間抜けな大量のビラ」製作に巨費を投じた北当局を批判しています。

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1年前の大量の間抜けなビラ製作で上質な紙と印刷具を使い果たす?

例年ならば「モネギチョントゥ(田植え戦闘)」も終わり、今度は「水不足による干害」騒動が伝えられてくるのだが、今年はどうなのか。

平壌からは金正恩総書記が6月11日に開かれた朝鮮労働党中央軍事委員会第8期第2回拡大会議で、「高度の射撃準備完了体制を徹底して堅持しなければならない」と、指示したかと思うと、今度は6月15日に開かれた朝鮮労働党の中央委員会総会で、「人民の食糧事情が切迫している」と危機感を表明し、農業問題の解決に向けて党と国家の総力を傾けるように指示したという。

「空にはミサイル弾 かたや田畑には糞尿弾」と私はいつも揶揄(やゆ)するが、新型コロナウイルス対策として昨年1月から国境を封鎖する中、今年3月以降は中国との海上輸送を解禁し、肥料を優先的に輸入したようだ。しかし、はたして北朝鮮の田畑全体に糞尿肥料、一名(いちめい=別名)、チュチェ(主体)ピリョ(肥料)ならぬ、中国からの質の高い(?)化学肥料が撒かれたのだろうか。

国連食糧農業機関(FAO)は14日、北朝鮮で昨年の水害などが影響し、100万トン以上の食糧が不足するとの見通しを示したが、輸入分を充てても約86万トンが足りないと試算している。「衣食足りて礼節を知る」ではなく「食衣住」が国是の北朝鮮にとっては、由々(ゆゆ)しき事態に落ち込まないとも限らない。今後予想される「水不足」や「台風による田畑の埋没と土砂の流出」が心配される。

さて、1年ほど前、中国共産党機関紙・環球時報は6月22日に、中国中央テレビ(CCTV)のニュースを引用して、南北ビラ戦争について以下のように伝えた。「朝鮮中央通信」によると、韓国への報復としてビラを配布する最終段階に入った。配布されるビラは1,200万枚を印刷し、さらに印刷工場を増やし数百万枚を追加する準備を進めている。北朝鮮時間22日には、ビラを配布するための3,000もの風船が用意されており、北朝鮮政府関係者は、もはや韓国へのビラ配布行動は止めることができないと述べた(ビラは配布するのか、そうではなく散布ではないのか)。

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