香港の自由は死んだ。現地新聞『リンゴ日報』休刊が伝える中国共産党の横暴

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中国当局の不当な圧力により、6月24日に事実上の廃刊となってしまった香港メディア「リンゴ日報」。アメリカのバイデン大統領も「メディアの自由にとって悲しい日」と述べるなど、世界に衝撃が広がっています。この件を受け改めて言論の自由について考察するのは、国際関係ジャーナリストの北野幸伯さん。北野さんは無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で今回、政権に対して非難ばかりを繰り返す日本のマスコミや野党の存在意義について、自らの持論を記しています。

「リンゴ日報」休刊~言論の自由はなぜ大事なのか?

中国政府に批判的な香港メディア「リンゴ日報」が6月24日、休刊になりました。「リンゴ日報」は、香港国家安全維持法違反の容疑で、複数の幹部が起訴され、資産も凍結されています。それで、やむを得ず休刊することになったのです。この辺の事情、世界情勢に多少興味のある人ならご存知でしょう。

香港には、2019年までかなりの自由がありました。しかし、2020年に香港国家安全維持法が施行され、自由は死に絶えています。

今回は、「なぜ言論の自由が大事なのか」を考えてみましょう。

長期政権は、必ず腐敗するという現実

なぜ言論の自由が必要なのでしょうか?いろいろ理由はあるでしょう。

私が一番大切だと思う理由は、自由なマスコミが、「権力の腐敗を阻止する役割を果たしているから」です。どういうことでしょうか?

人間は弱い存在なので、長い間権力を持ち続けると、ほぼ例外なく腐敗します。16年ドイツの首相を務め、ほとんど腐敗していないメルケルさんのような例外もありますが。たいていは腐敗します。たとえば2010~2011年に起こった中東民主化運動「アラブの春」について考えてみましょう。これで失脚したのは、

  • チュニジア、ベンアリ大統領 革命で23年の統治に終止符
  • エジプト、ムバラク大統領、在位30年で失脚
  • リビア・カダフィ大佐 42年間リビアを支配後失脚
  • イエメン・サーレハ大統領、在位34年で失脚

これらの支配者に共通していることは、「独裁化」と「非自由化」を進めていったということ。そう、長期間政権になると、どんどん独裁化がすすむ。そして、独裁者が独裁者と家族、友人、利権を守るために、自由な言論や政治活動を制限したり、弾圧したりするようになるのです。

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