現役医師が自ら人体実験「ビールを飲んでも血糖値は上がらない」は本当か

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暑い夏の一日の終わりに飲みたくなるものと言えばビールですが、血糖値が気になる向きには注意が必要なようです。今回のメルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』では糖質制限の提唱者としても知られ、「2型糖尿人」でもある医師の江部康二先生が、「ビールを飲んでも血糖値は上がらない」という説を自ら体を張って検証。そこから得られた結果を誌上で公表しています。

ビールと血糖値

「ビールを飲んでも血糖値は上がらない」という怪しい説が時折見られます。実際のところどうなのでしょうか?

「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」によれば、ビール(淡色)100g中に、

  • 炭水化物:3.1g
  • 利用可能炭水化物:3.1g
  • 食物繊維:0g

となっています。

利用可能炭水化物は、通常は糖質を意味しますので、飲めば血糖値は上がるはずですね。それで、自分で実験をすることにしました。

  • 夕食前の血糖値:114mg/dl
  • 缶ビール330mlを1缶(100mlあたり3.8g→総量で12.54gを摂取)
  • 約1時間後:血糖値:154mg/dl

私は体重が57kgなので、

64kg÷57kg=1.123

体重64kgの2型糖尿人で、1gの糖質が、血糖値約3mg/dl上昇ですから、体重57kgなら、1gの糖質で血糖値約3.37mg/dl上昇の予測になります。

缶ビール、330mlを1缶(12.54gの糖質)摂取して、40mg/dl血糖値が上昇で、1gの糖質が約3.19mg/dl血糖値を上昇させています。

ほぼ予測通りです。

少なくとも、2型糖尿人の江部康二においては、ビールは含有糖質通りに血糖を上昇させました。

他の糖尿人のご同輩も同様の可能性が高いですね。

実験したメーカー名は伏せておきますが、日本のビールの製法は、どの大手メーカーもほぼ一緒なので、どのメーカーのビールも血糖値を上昇させると考えられます。

世界のビールも、日本と同様に下面発酵ビールが9割なので、やはり血糖値を上昇させると思います。

下面発酵ビールは別名ラガータイプと呼ばれます。上面発酵ビールはエールタイプと呼ばれます。エールタイプは今回実験していませんが、おそらく、糖質分は血糖値を上昇させると思います。

結論です。

缶ビールの糖質表示はそのまま、血糖値を上げると考えられます。飲まれる場合は量に注意しましょう。

image by: Shutterstock.com

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(財)高雄病院および(社)日本糖質制限医療推進協会 理事長。内科医。漢方医。京都大学医学部卒、同大胸部疾患研究所等を経て、1978年より医局長として高雄病院勤務。2000年理事長就任。高雄病院での豊富な症例をもとに、糖尿病治療、メタボ対策としての糖質制限食療法の体系を確立。自らも二型糖尿病であるために実践し、薬に頼らない進行防止、合併症予防に成功している。

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