韓国軍、奇跡の撤退。アフガンから391人を救出した作戦の全貌

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日本をはじめ各国がアフガンからの自国民や関係者の救出に手間取る中、韓国が起こした奇跡に同国市民が沸いています。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住歴30年を超える日本人著者が、韓国軍の輸送機がアフガンから391名もの人々を救出したというニュースを紹介。さらにアフガン人の韓国協力者を「難民」の扱いではなく「特別功労者」として受け入れた韓国政府に対する賛辞を、報道を引く形で記しています。

「難民」ではなく「特別功労者」として

クールコリアが久しぶりに登場した。アフガニスタンから391人を飛行機に乗せて救出した韓国の作戦だ。ミラクル作戦と命名された今回の作戦、8月25日のニュースを筆者は391人を乗せて仁川に来るんだな、と別に何のひっかかりもなく見ていた。ところが8月26日になって、朝から391人の話題だけなのだ。なんだなんだと注視してみると、日本から派遣した自衛隊機は回収者ゼロ、ベルギーもゼロ、ドイツ7人、豪州は50人、オランダは接近自体が不可だったとあるではないか。

ええ?それじゃあの「391人」という数字は、途方もない奇跡なんじゃないのか。韓国、でかしたぜ!と思わず筆者の口から雄叫びがあがってしまった。これを書いているのが26日午後3時だけれど、たぶん午後4時ごろに仁川空港に到着する予定のようだ(発送することには到着しているかも)。

韓国国防部国防政策室のキム・ミンギ室長は26日午前、CBSラジオ「キム・ヒョンジョンのニュースショー」に出演し、カブール脱出作戦の裏話を熱く語った。まず今回の輸送作戦の名前は上述したように「ミラクル作戦」。キム室長は「今日26日入国するアフガン現地人は、韓国を助けてくれた人たちで、大使館や韓国病院、職業訓練院に勤めていた」とし「76家族が入国するが、このうち乳幼児が100人余りになる」と話した。家族単位で動くので、幼い子どもが多かった。

当初の申請人数は427人。今回の入国は391人だ。金室長は「他の国を希望した方もいれば、個人的理由で来られない方もいた」と説明した。当初、韓国政府は民間機の輸送を計画していた。しかし、状況が緊迫するにつれ、軍の輸送機を投入することになった。金室長は「計画を作って準備していたが、こんなに早く(8月15日に)カブールがタリバンに占領されるとは思わなかった」とし「危機意識を感じ、急に軍用機投入を決定した」と話した。映画『モガディシュ』を見ると内戦の様相がいかに早く変わったかが分かる。タリバンがこのように早くカブールを占領すると予想した人は誰もいなかった。米国もそうだったし、ひいてはタリバンさえも同様だった。

映画『モガディシュ』は、今年7月28日に封切された韓国映画だ。28日の公開初日から動員数歴代1位をマークし、その後も勢いが続いている。『モガディシュ』は1991年にソマリアの首都モガディシュで、ソマリア内戦当時、孤立した人々の生死を駆けた脱出を描いた映画だ。奇しくもアフガン救出作戦と相似形だ。『モガディシュ』は一言でいって「命をかけて空港に向かう道を探す路程」だ。今回のカブールも同じだった。今月15日、タリバンがカブールを占領した後、カブール空港は修羅場となった。タリバンは空港を掌握することはできなかったが、空港への道を遮断した。アフガン人の空港出入りは禁止された。金室長は「カブール空港内外で2万人余りの人員が右往左往しているため、空港ゲートには入れない状況だった」とし「作戦初日には(集結地)内に入った人員が(391人のうち)26人しかいなかった」と明かした。豪州50人、ベルギーはゼロ、ドイツ7人、オランダは接近自体が不可だったというではないか。金室長は「絶対にこうなってはならないという判断で「神の一手」を投入した」とし「再集結地として、空港近くの聞いたらすぐわかる地域を選定した。そこにバスを待機させ、(入国希望者が)集まればバスで移動した」と話した。このバスもアメリカのバスを使ったりという韓国人ならではの臨機応変さを発揮したものだった。ただ黙って誰かがしてくれるのを待ってはいなかったわけだ。

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