社宅や寮は会社を退職したら必ず出ていかなくてはならないのか?

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社員にとってはありがたい社宅制度ですが、会社側には注意が必要のようです。今回の無料メルマガ『採用から退社まで!正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』では社会保険労務士の飯田弘和さんが、 社宅などの貸与は賃金に当たるのか、という質問に詳しく回答しています。

社宅や寮は現物給与になるのか?

ある会社さんから、こんな質問を受けました。

「社宅などの住宅の貸与は、賃金(現物給与)になりますか?」

社宅制度のある会社は結構あります。また、会社が新入社員の入社の都度、民間住宅を借り上げ、それを入社社員に安く(または無料で)貸す場合もあります。このような住宅の貸与は、労働者にとって利益の大きいものです。

では、住宅の貸与によって労働者が得た利益は、賃金に当たるのでしょうか?ちなみに、会社が支給している“住宅手当”は賃金となります。

この問題については、“労働基準法や雇用保険上の賃金に該当するかどうか”と“社会保険上の報酬に該当するかどうか”を分けて考える必要があります。

労働基準法や雇用保険上は、住宅の貸与は、原則として賃金(現物給与)には該当しません。福利厚生と考えます。ですから、残業代の単価計算には算入しませんし、雇用保険料の算定基礎にも含めません。しかし、住宅を貸与されない者に対して定額の均衡手当が支給されている場合には、住宅貸与の利益が賃金とされます。

また、社宅等の住宅の貸与は福利厚生施設と考えられるため、雇用契約が終了すれば、社宅等を出ていかなければなりません。それは、自己都合退職だけでなく解雇であっても同様です。福利厚生は、あくまで雇用契約に付随するものでしかないからです。

ただし、社宅とはいっても、近隣の家賃相場と変わらないような家賃を会社が徴収している場合には、福利厚生施設ではなく、会社と労働者の間で結ばれた通常の賃貸借契約と考えられます。そのような場合には、雇用契約の終了と関係なく、賃貸借契約は継続すると考えられます。退職したからといって、必ずしも社宅を出ていかなければならない訳ではありません。

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