大阪のドヤ街で、お好み焼き店が「1枚100円」の商売を続けるワケ

 

お好み焼き(豚肉玉子入)が100円。お好み焼き(豚肉玉子入+玉子1個追加)が150円。お好み焼き(豚肉大盛玉子入+玉子1個追加)が300円。とん平焼きが300円。

大きさとしては、チェーン店よりひとまわり小さい程度。なのに、100円です。チェーン店だと、600~800円はするでしょう。

関西で有名な「キャベツ焼き」でも、160円ほどです。キャベツ焼きとは、薄く延ばした生地に、キャベツ、玉子、天かす、紅しょうがなどをのせて焼いたもので、2つに折り曲げても薄い、おやつ感覚のお好み焼きです。豚肉が入ると、250円ほどになります。

この屋台は、たっぷりのキャベツに、豚肉や玉子が入っている上、生地には山芋も使っています。これを100円で提供するのは、かなり厳しいのではないでしょうか。

店主は値上げしない理由をこう話します。

「20円上げても利益はほとんどない。それ以上にすると、客が来ない。計算がややこしいし、面倒臭いしな」。

この言葉に人柄が出ています。恐らく200円でも300円でも、お客さまは来るはず。なのに値上げしないのは、この地域のおっちゃんたちを思ってのこと。お金のない人にも、美味しいお好み焼きを食べさせてあげたいのです。

近くの自販機でお酒を買って、100円のお好み焼きを食べる。ほんのひと時であっても、おっちゃんたちが幸せになれることを願っているのです。そんな優しさの照れ隠しで、「面倒臭い」と言っているだけなのです。

お酒を売って、儲けようともしません。商売人の欲がないのです。この地域を愛し、ここの人たちのために、安くて美味しいお好み焼きを焼き続けています。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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