という訳で「カオリンV」は次のチャレンジャーにお譲りすることにして、たぶん私にとっての最後の船になるであろう「カオリンVII」を手に入れました。「カオリンVI」は「カオリンVII」に乗せる小さなテンダー(上陸用小舟)の名前に使う事にして、人生最後の船にはラッキーセブンをイメージして「7」の数字を付けました。私は結婚式や入籍を仏滅にした上に、カミさんが「ひのえうま」であることから分かるように、ゲン担ぎとか迷信が嫌いな男ですが、なんとなく「7」ってカッコいいじゃないですか。
「カオリンVII」は私にとって4隻目のクルーザーヨットですが、今回は初めてFRP(強化プラスチック)じゃなくて純国産の木造艇にしました。別に木造艇にこだわった訳じゃないんですが、欲しいサイズと性能を勘案して、いろいろ探していて最後に選択肢として残ったのが大阪の堺港に係留されていた船齢6年ほどのこの船だったんです。中古艇なのに新艇以上の値段がします。コロナ騒動の今、「海外に遊びに行けないし、国内で換気のいいマリンスポーツに金を使いたい」という「小金持ち」が相当いるみたいで、新艇は3年待ち、中古艇も殆どが売却済みになっていて、小型船の価格が全般に上昇しているんです。
私の買った木造艇は「木造」とはいえ、カーボンファイバーとエポキシ樹脂で船体が強化されていますし、十分なキール(船底を縦に貫く部材=竜骨)の重さがありますので、「カオリンV」の3分の1くらいの体積の小さな船ですが、十分外洋航海に耐えられそうです。日本全体で現役の木造ヨットは100艇ほどしかないはずですから、かなり珍しい船です。木造艇の「波あたり」はFRP艇よりも柔らかいと言われています。一回試乗しただけでは、よく分かりませんでしたけどね。何せ「カオリンV」(ホルベルグ・ラッシー39)は世界的な名艇ですから、「カオリンV」と比べたら新しい船が可哀そうです。
彼氏でも彼女でも、「現在の人」を「過去の人」と比べてはいけません(笑)。
過去って大抵美しいものですからね。それはマナー違反です。(『辛坊治郎メールマガジン』2021年10月15日号より一部抜粋。後半は新しく買った車の話や自動運転の内容がお読みいただけます、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
image by: 辛坊氏提供








