漫画家・江口寿史、SNSの「おじいちゃんなのに…」投稿へ“シティ・ポップで反論”のナゼ?

2021.10.21
by gyouza(まぐまぐ編集部)
 

実を言うと江口さんは、自他ともに認める「シティ・ポップ」ファンとして有名で、「シティ・ポップ」の金字塔として名高い大瀧詠一(2013年他界)の1981年のアルバム『A LONG VACATION』(ロンバケ)発売40周年記念のポスター・イラストも今年に手がけている。

江口さんはロンバケ40周年ポスターを手がけた際のコメントとして、以下のように語っている。

「25歳になろうとしていた1981年の春に出た『A LONG VACATION』。買ったその日から、本当に毎日毎日ぼくはこのレコードを聴いていました。人生であんなにターンテーブルに乗せたレコードはないかも。毎週毎週〆切りに追われながらギャグ漫画ををひねり出す日々のオアシスでした。」(ソニーミュージック『A LONG VACATION』40周年記念公式サイトより)

ここでの江口さんのイラストは、まさにイラストレーター・永井博が「ロンバケ」のジャケットに描いたプールサイドに近い、ビーチへの小径のようにも見える。音楽とジャケットデザインへのリスペクトが見て取れる美しいポスターだ。

また、1979年に自主制作のアルバム1枚しか残さなかった幻の「シティ・ポップ」バンドとして知られる「so nice」の初アナログシングル『光速道路』のジャケットにイラストを描き下ろしている。

さらに、今年3月3日に発売された雑誌『東京人』(都市出版)の「シティ・ポップが生まれたまち。1970-80年代TOKYO」と題した特集号の表紙イラストを手がけ、コラムも執筆するなど、近年は「シティ・ポップ」関連の仕事も数多い。

私たち40代から50代にとって、江口さんといえば「ひばりくん」やファミレス「デニーズ」のメニューイラストなどでもお馴染みだが、その色褪せない「都会感」は、まさに「シティ・ポップ」の音楽にぴったりくる。

今回の「おじいちゃん」指摘への反論に、細野晴臣や山下達郎、矢野顕子を例に出したのも納得だ。もしもTwitterにもう少し文字数があれば、きっと山下の妻である竹内まりや、山下とバンド「シュガー・ベイブ」を組んでいた大貫妙子らの名前も挙げていたに違いない。

65歳という年齢は現実だが、江口さんをはじめ「シティ・ポップ」の音楽家たちの作品に年齢は感じられない。いつまでも普遍的な作品を作り続けてほしいと願うばかりだ。

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※本記事内のツイートにつきましては、Twitterのツイート埋め込み機能を利用して掲載させていただいております。

image by: shutterstock.com

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