職場によっては、なかなか新人が入ってこないため、何年かぶりで後輩や部下ができたときに「どう育てていいかわからない」「生産性も落ちて煩わしい」などのケースがあるようです。初めてできた部下がやる気も能力もなく悩むキャリア10年の会社員が助けを求めたのは、メルマガ『『ゼロ秒思考』赤羽雄二の「成長を加速する人生相談」』著者で、世界的なコンサルティング会社で14年間もの勤務経験を持つ、ブレークスルーパートナーズ株式会社マネージングディレクターの赤羽雄二さんでした。赤羽さんは、部下ができたからには「育ててなんぼ」と価値観を変える必要があると明言。試したり叱ったりせず、タスクシートを作り進捗確認もしながら丁寧に接することでやる気も上がると伝えています。
「考える力」を鍛えたい人に贈る『ゼロ秒思考』著者・赤羽雄二さんがあなたの悩みに答えるメルマガ詳細・ご登録はコチラ
部下にうまく仕事を振ることができません
Question
32歳、購買部スタッフです。ようやく部下ができたのですが、これまでずっと一番下でやってきたこともあり、部下にうまく仕事を振ることができません。入社3年で総務部から異動した部下なのですが、要領が悪く、やる気もなく手間取るばかりです。
私は購買部に10年なので、知識・経験・スキルすべてに渡って差がありすぎて、うまく使えません。上司からは彼を活かすように言われているのですが、実際どうやればいいのかは助言してくれません。質問しても「まあ面倒見てやれや」と、はぐらかされる感じです。多分、上司も久しぶりの新人部下でどうしたらいいのかわかっていないのかも知れません。私はどう取り組むべきでしょうか。
赤羽さんからの回答
ご質問どうもありがとうございました。大変ですが、ここは超えるしかないです。どうやって超えるかというと、まずは価値観として、部下を育ててなんぼ、という考え方を持つことです。誰も最初は新人でした。質問された方も、また質問された方の上司もです。誰かに育てられて今があるわけです。自分は誰にも育てられなかった、すべて自力で切り抜けてきた、という方もいらっしゃらないわけではありませんが、実際は、誰かに助けられていることのほうが多いです。ですので、まずは先輩の責任として部下は育てるもの、とお考えください。
次にそうはいっても、上司からの要求が厳しい中でどうやって結果を出しつつ、新人部下に少しでも貢献してもらうかですよね。これは3、4ページのタスクシートを書き、誤解の余地をできるだけ小さくした上で、まずはちょっとした作業からやってもらいます。ただやらせるのではなく、どういう目的で、どういう趣旨でこの作業をするのかを説明すると、やる気は間違いなく上がっていきます。
このとき、部下を試すような言動は何の効果もなく、嫌われるだけなのでやめましょう。できないことを「え?そんなこともできないのか?学校では何を勉強したのか?」などという質問は、無意味であるだけではなく、マウンティングであり、有害です。部下のやる気を削ぐ、部下の自己肯定感を下げる、上司への敵意を燃やす、会社へのロイヤルティーを傷つけるなど、いいことはありません。
さて、経験のない部下に対しては、週2回くらい進捗確認をし、タスク遂行上の悩みを聞いて具体的なやり方を説明する必要があります。最初はここまで伝えるかというほど具体的にステップを説明し、作業しながら慣れていただくのが近道です。
罵倒しながら新人を育てる会社もありますが、今どき古いし、それでやる気を出してくれるわけでもありませんのでやめたほうがいいです。大切なのは、アクティブリスニングとポジティブフィードバックです。これについては、『自己満足ではない「徹底的に聞く」技術』などがお勧めです。こちらもご覧ください。
● 経営改革を進める第7の鍵: コミュニケーション改善—ポジティブフィードバック、アクティブリスニング徹底 | ブレークスルーパートナーズ
新人は上司の仕事を見て盗めとか、自分で調べろというのも、決して生産的ではないので、少しだけ時間を割いて仕事のやり方を説明し、フィードバックしながら進めていくのが結局は一番です。やってみて、ぜひまた質問してください。
「考える力」を鍛えたい人に贈る『ゼロ秒思考』著者・赤羽雄二さんがあなたの悩みに答えるメルマガ詳細・ご登録はコチラ
image by: Shutterstock.com