京王線“ジョーカー男”事件で識者が提言。模倣犯を出さぬために徹底すべき3つの対策

 

2点目は、これはあくまで議論のための「刺激剤」としての問題提起なのですが、例えば今回の小田急や京王の事件のような場合に、どのように電車を止めて、乗客がどのように避難すべきかといった問題について、相当数の乗客を巻き込んだリアルな訓練を行うということは考えてもいいと思います。

例えばですが、ある駅間について定期券を持っている乗客というのは、その駅間のヘビーユーザーですから、そうした乗客の中からボランティアを募って、ちょうど良い乗車率の状態で走行させて、事故の訓練をするのです。例えば、週末の午前中などに事前に断って2時間程度の運休をして実施し、その上で、問題点を洗い出すということはやる価値はあるのではと思います。

ある車両で、走行中に出火し、人物が暴力を振るっているとして、その場合に、緊急停止、乗客の全員避難、ケガ人の救護、犯人の確保といった一連の動作について、乗務員、駅員、指令を入れてガチンコ同様で行い、そこにメディアも入れる、つまり訓練に参加していない人にも「万が一の場合の動作」について報道を通じてPRをするとか、社会がどのような対策をしたらいいかを一緒に考えるのです。

乗客がドアコックを開けてもいいのかどうかとか、特に今回の事件では、ドアコック動作をされると、ブレーキが変わって停止位置がズレるので困ったなどという問題も起きていますが、これもシステムを最適化した上で、乗客が参加する部分が残るのであれば、やはり乗客を交えた訓練に含めてはどうかと思うのです。

このドアコックの問題について言えば、積極的にPRすると「イタズラ」が怖いというのが鉄道事業者のホンネだと思いますが、これは目的外使用については厳罰化して対応するのが一つの案だと思います。

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