新しく雇った従業員が借金を抱えており、貸金業者から会社に電話がかかってくる…そんなお悩みが無料メルマガ『採用から退社まで!正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』の著者である社会保険労務士の飯田弘和さんのもとに舞い込みました。この従業員を解雇することはできるのか、どういった対応をとるべきかを飯田さんがお話ししています。
借金を抱えた従業員の解雇は可能か?
ある会社さんから、こんな質問を受けました。
「新たに雇入れた従業員が多額の借金を抱えているらしく、貸金業者から会社に頻繁に、支払い督促の電話がかかってきている。この従業員を解雇できないか?」
貸金業者からの頻繁な支払い督促の電話。業務にも支障が出ますよね。でも、解雇はちょっと待ってください。なぜなら、借金はプライベートな行為ですよね。プライベートで何をしようと、原則、会社は口出しできません。従業員の自由です。
確かに、貸金業者からの会社への頻繁な電話のため、業務に支障が出ているかもしれません。しかしそれは、貸金業者の違法な取り立てが問題なのであって、借金をした従業員が問題を起こしたという訳ではありません。
貸金業法では、勤務先等への電話やFAX、訪問等による取り立てを禁止しています。刑事罰もあります。このような違法行為による取り立ては、会社への業務妨害とも解されるでしょう。
問題なのは、あくまで貸金業者であって、それを理由に従業員を解雇するのは無理があります。懲戒処分を科すのも難しいでしょう。会社ができる事といったら、その従業員を諭すぐらいでしょうか…
ただ、もしその従業員が、経理等の金銭を取り扱う部署に配属されているのなら注意が必要です。偏見を持ってはいけないのでしょうが、借金をきちんと支払っていないような者が金銭を扱えば、横領等の危険が、他の従業員よりも高いと思います。
貸金業者から会社に電話がかかってくるという事は、返済がきちんとされていないのでしょうから、金銭にルーズであり、金にも困っていると考えられます。可能であれば、他の部署へ配置転換をした方が良いでしょう。
もちろん、実際に横領等が行われれば、刑事告発や(懲戒)解雇を行うことになるでしょう。
このような人間がいる事を考えると、入社時に保証人を立てさせることも、未だに必要だと思います(最近は、入社時に保証人を立てさせることが少なくなっているように感じますが…)。
また、一番いいのは、このような者を雇わない事です。そのためには、採用面接等で、ある程度時間をかける必要があるでしょう。特に、前職の業務内容や退職については、きちんと聴くようにしましょう。きちんと、しつこく聴くことで、その者が嘘をついていたならばボロを出します。
image by: Shutterstock.com