人為的温暖化論に基づいて、過去になされた気候変動の予測はほぼ全部外れたのである。気候変動は地球規模の現象であるため、再現実験は不可能で、予測でしかその正しさを実証する術はないが、予測がことごとく外れたという事は、この理論は間違っていると考える他はない。
それでも、この理論が正しくないという事になると、メガソーラーや電気自動車やその他もろもろの人為的地球温暖化を阻止すると称する商売の正当性が無くなって、それで儲けている企業が困るので、過去の予測の大外れについては頬かむりをして、このままCO2を削減しないと、2050年には地球は大変なことになると言って、恐怖を煽っているのである。
ところで、再現可能性とも、予測可能性とも少しく異なる第三の実証の方法は比較である。ある薬が効くことを実証するのは、通常は対照群との比較実験による。例えば、降圧剤の効果を実証するには、かなりたくさんの高血圧の人を集めて、当該の降圧剤を処方するグループとプラシーボ(偽薬)を処方するグループに分ける。次に、治験者にも投薬する医療関係者にも、治験をする薬かプラシーボかを知らせずに、降圧剤の効果があったかどうかの統計的な検定をする。
降圧剤を飲んで、血圧が下がる人もいれば、下がらない人もいる。プラシーボを飲んでも下がる人もいるし、下がらない人もいる。同じ高血圧といっても、個々人ごとに体の状態が違うので、実際に効くかどうかは飲んでみなければ分からないし、飲むタイミングによっても効いたり効かなかったりする。
しかし、沢山の人を対象にすれば、確率的にはどのくらい効くかはわかる。例えば投与群の30%の人の血圧が下がり、非投与群では2%の人だけしか、血圧が下がらなかったとすれば、この薬は多少は効くことが実証できたことになる。但し、貴方に効くかどうかは分からない。効いた人と効かなかった人はどこかに違いがあることは間違いないが、現代医学にはその違いまでは分からない。付言すれば、降圧剤で血圧が下がったからといって、降圧剤を飲まなかったときに比べて、長生きできるかどうかも分からない。
(『池田清彦のやせ我慢日記』2021年11月12日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください)
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