ホンマでっか池田教授が暴く「人為的地球温暖化」を撤回できない訳

 

ところで、時間が後ろに戻らない現実世界では、初期条件を完全に同一にして、実験を行うことは実は不可能である。限定的な条件下で、ほぼ初期条件を同一にできるだけだ。人間が操作できないマクロな系では、そもそも実験を行うことができない。それでは、マクロな系に関しては実証は不可能なのか。そんなことはない。この場合は、再現可能性の代わりに予測可能性を持ち出せばよい。

例えば、近未来の太陽系の惑星の位置関係は予測することができる。100年後でも1000年後でも、この予測は間違いなく当たるだろう。従って、近未来の太陽系の位置関係を観測すれば、この予測の基になったニュートン力学の正しさは、さしあたって実証されたという事になる。

なんで、わざわざ、「さしあたって」という限定語を付けたかというと、どんな理論も、その正しさは限定的なもので、完全に正しい理論などというものは存在しないからである(この辺りのややこしい話に興味がある人は、『構造主義科学論の冒険』あるいは、『生物にとって時間とは何か』を参照されたい)。

太陽系内の惑星の位置関係だって、近未来はともかく、10億年後はどうなっているか分からない。太陽の質量は徐々に減衰するので、ニュートン力学に基づく予測は何十億年という未来までは通用しないからだ。

ところで、近未来でさえ予測不能なのにもかかわらず、世間に跋扈している理論もある。言わずと知れた人為的地球温暖化論である。人為的地球温暖化が政治的なアイテムになった20世紀の終わりから21世紀の初頭にかけて、2020年までに地球温暖化で甚大な影響が出る、という予測が雨後の筍のように現れたが、ほとんどすべて外れだった。いくつか列挙すると、

(1)1987年に、人為的温暖化論者の米国NASAのハンセンが、2020年までに地球の平均気温は3℃上昇すると述べたが、実際の上昇は0.5℃だった。
(2)21世紀の初めに、キリマンジャロの雪は2020年までには消滅する、という予測が、アル・ゴアをはじめ何人もの人によってなされたが、今に至るまで雪は消滅していない。
(3)2009年に、米国地質調査所のファグレが、モンタナ州のグレイシャー国立公園の氷河は2020年までに消滅すると予測したが、2020年になっても氷河は健全だった。
(4)2000年、イギリスのイースト・アングリア大学の気候研究ユニットの科学者ヴァイナーが、2020年には英国では雪は降らなくなるだろう、と予測したが、雪は今でもよく降っている。

「ホンマでっか!? TV」でおなじみの池田教授が社会を斬るメルマガ詳細・登録はコチラ

 

print
いま読まれてます

  • ホンマでっか池田教授が暴く「人為的地球温暖化」を撤回できない訳
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け