愛犬愛猫の命が危ういとき、飼い主自身に正しい応急処置の知識と技術があれば助けられるケースがあります。今回のメルマガ『佐藤貴紀のわんにゃんアドバイス』では、著者で獣医師の佐藤先生が、事故や病気で呼吸や心臓が止まってしまった時の「人工呼吸」と「心臓マッサージ」の方法を教えてくれます。先生は、動物病院へと急ぎながらも可能であればこうした手当をしながら来てほしいと伝えています。
飼い主さんができる「心臓マッサージ」の応急処置
飼い主さんが思いもよらない事故や病気で、ペットが重篤な状態になってしまった時、急いで動物病院に運ぶのが大切ですが、もし、呼吸や心臓が止まってしまったら飼い主さんが応急手当をしながら病院に連れてきてほしいと思う時があります。
いざという時に困らないように「人工呼吸法」「心臓マッサージ」について、今回はお伝えしていきたいと思います。
1)「人工呼吸」について
まず、首輪やリードをしている場合ははずして下さい。舌を引き出して押さえ、空気の通り道を作ります。そして、なるべくアゴからのど、胸までがまっすぐなるようにして口先を飼い主さんの手でそっと押さえて塞いで、ペットの鼻を飼い主さんの口でくわえるようにして、空気がほかに漏れないようにしながら3秒間息を吹き込みます。
この時、ペットの胸のあたりが膨らんでいるかを確認してください。膨らんでいない場合は、吹き込む息が足りない目安になります。ペットが自分で呼吸できるようになるまで、5秒間隔でこれをくり返します。この時、必ず、途中で心臓が止まっていないかを確かめて下さい。万が一、止まっていたら心臓マッサージを行なって下さい。
2)「心臓マッサージ」について
心臓マッサージの際にも、まずは横向きに寝かせ、口を開けて舌を押さえて気道を確保します。そして、飼い主さんの両方の手のひらを重ねるようにして、ペットの前足の上あたりを「圧迫してゆるめる」という動作を1秒間隔で6回続けてあげて下さい。
その後、口移しの人工呼吸を行ない、心拍数が回復するまで心臓マッサージと人工呼吸を繰り返して下さい。
●補足
「人工呼吸」「心臓マッサージ」ともに獣医師の指示に基本従って下さい。あと、飼い主さんがまず落ち着いてから、必ず行なって下さいね。
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