竹中平蔵の起用は“逆走”だ。京大教授が指摘する岸田首相「決別」のウソ八百

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「成長と分配の好循環」を旗印に政権運営をスタートさせた岸田内閣ですが、発足から二月と経たないうちに暗雲が漂い始めたようです。今回のメルマガ『藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~』では京都大学大学院教授の藤井聡さんが、早くも岸田首相が犯してしまったという大きな間違いを指摘。そのうちの1つである「経済財政諮問会議」での発言を根本的な失策とバッサリ斬り捨てた上で、そう判断する理由を理論的に解説しています。

(この記事はメルマガ『藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~』2021年11月13日配信分の一部抜粋です)

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岸田総理は、竹中氏・野田氏を徴用するという間違いのみならず、経済財政諮問会議でも根本的な間違いを犯しています

衆院選挙を経て、第二次岸田内閣が改めて発足しました。

選挙結果が「大勝利」であったことを受けて、岸田内閣はそれなりの安定内閣となり、目玉政策として掲げた「新しい資本主義」の実現に向けた取り組みをそれなりに進めていくだろうと目されています。

岸田総理は、これまで、総裁選、総選挙を戦うに際して

「所得倍増」
「分厚い中間層の実現」
「新自由主義からの決別」
「成長と分配の好循環を導く」
「経済安全保障」
「均衡ある国土の発展」
「株主資本主義から(賃上げ・投資拡大をもたらす)公益資本主義への転換」

という、大変耳当たりの良い政策理念を掲げていました。

ですから、この第二次内閣発足にあたって、これらの政策理念の実現に向けて、具体的に岸田さんがどうやっていくのかに筆者のみならず、多くの国民は大いに注目していました。

ところが……内閣発足直後から、怪しい空気が立ちこめ始めます。

「新自由主義からの決別」という金看板とは裏腹に、新自由主義の権化である竹中平蔵氏と、スーパーグローバル企業ヴェオリア・ジャパンの社長野田由美子氏を、首相直属委員会のメンバーに任命したのです。

こういった人達は、まさに新自由主義の理念に基づいて規制緩和・民営化を進め、国民の所得を吸い上げる事を通してカネ儲けを企むビジネスマン達です。ですから、岸田さんが彼らの声に耳を傾ければ傾ける程、「成長」や「分配」とは真逆の「貧困化」と「格差の拡大」が加速することは避けられません。

これでは、「新自由主義からの決別」はもとより、「分厚い中間層の実現」や「所得倍増」などが絶対に実現できないどころか、むしろ「バックギアにギアをいれて、全力で加速する」ようなもの。

だとしたら、これはもう、完全に馬鹿丸出しという話ですね(もちろんそうでないと信じたい所ですが)。

あれだけ大見得切って、所得倍増だ新自由主義との決別だと言ってたわけですから、まさかあの、最近の政治家にしては珍しく、それなりに品位と知性を漂わせる雰囲気をお持ちの岸田さんが、そんなあからさまな裏切りや馬鹿丸出しの対策をするはずがない、と思いたいところですが──勿論、予断は許せません。

そんな岸田さんに対する疑念が頭をもたげ始めた頃、官邸の会議体の中でも特に重要な会議である経済財政諮問会議が、11月9日に開催されました。

この機会は、我々の疑念が正しいのか間違っているのかを確かめるに絶好の機会となります。

何と言っても経済財政諮問会議は、今後の政策の大方針が審議される、総理が座長を務める会議であります。そしてその最後に出される総理の声明は、岸田内閣が今考えていることが、そのまま端的に表れるものなのです。

で、下記HPに、その総理声明が掲載されているのですが……結論から言って、かなりマズイ内容になっています。

経済財政諮問会議

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