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たった2割の「ダメ社員」に合わせた社員教育が会社の成長を止める

会社を成長させるために必要なのは社員教育であることは間違いありませんが、実は教育をする人材を間違えている場合があるようです。今回の無料メルマガ『飲食店経営塾』では飲食店コンサルタントの中西敏弘さんが、 ご自身がコンサルティングしている企業の実話を紹介し、効果的な社員教育の方法について解説しています。

会社を成長させたいのなら、今すぐ、地道な社員教育から始めよう!

会社が成長するには、社員の成長は欠かせないわけで、そのために、「人材教育」に力を入れている会社は多いのではないかと思います。そして、その支援を僕は多くの会社で携わせていただいております。

ただ、教育だけが僕のコンサルティングではありませんが、「人材教育」の支援を行う中でいつも思うことが次の2つです。

1.すぐに結果を欲しがる
2.社員の下部層に視点を向けがち

まず、1.の「すぐに結果を欲しがる」に関しては、教育が継続しない、教育に力を入れない、社長さんほどこのことを話します。「結果がすぐにでないですよね?」と。

教育は、社員の中に土台を作り、その土台の上にひとつひとつ知識を積み上げていく地道な作業になるので、なかなか結果は出ません。“すぐに結果を出す”教育をすることはできますが、それはあくまで「小手先のノウハウ」を伝えるだけであり、僕からすればそれは教育とは思っていません。

目指すは、「社員一人一人が、自分自身で考えて行動し、色々な面で成果を出す」ことです。

自分で考えて行動するためには、土台つくりが大切であり、土台となる「意識、行動面の考え方」などを各社員の頭、心に根づかせることがすごく重要となります。

そのために、人としての行動のあり方や考え方などを浸透させるだけでなく、それ以上に、理念やクレド、行動指針を時間をかけながら(ここが大事!)浸透させるさせることで土台ができていきます。

また、日常業務の教育に関しても、土台がないまま教育を行うと、例えば、日々のFLコントロールを厳しく指導したり、毎月の行動計画に対してあれこれ指導しても、土台がないなかで実技の指導をするので、社員はすぐにアップアップの状態になります(知識がない中で実技をやるので、どう対処していいか、どう行動していいかわからないためアップアップになるのです)。

なので、基本的な数値管理の考え方、アルバイト教育の考え方、やり方、そして、行動する際に必要な考え方等を知識として吸収させることを先に行い、ある程度の知識ができた状態から、実技を行うと、自分たちの「手数」(やること)が少しはわかっているため、行動できたり、そして、時に結果にもつながるのです。

このように日常業務の教育に関しても、すぐに結果を求めることは、かえって、社員の負担にもつながりますので、経営者は「時間がかかる」ことを踏まえた上で教育を進めることが大切になのです。

さらに言えば、経営者は、社員に対して「結果がすぐにでない」ことを伝えることも大切です。

なぜなら、自分たち(社員)にとっては苦しいことの連続であり、「こんなことやる意味があるのか?」と思うのが普通です。そして、すぐに不平不満を言い出します。それを経営者が真に受けて、教育にかける時間を短くしたり、止めてしまうと、もう2度と教育はできない状態になり、社員の成長を望めない状態になってしまいます。イコール会社が成長しないということです!

このように、教育は一朝一夕で結果がでるものではなく、ジワジワと社員の頭と体に吸収され、それがある時点で爆発して結果につながるのです。時間がかかるからこそ、早く始めることが大切であり、他社と差別化したいのであれば、どこよりも早めに始めることを多くの経営者さんにおすすめしています。

僕が「教育」に対して常々思うことのの2番目は、「社員の下部層に視点を向けがち」という点。組織は、どんな組織であれ、基本的には262の階層(2の優秀層、6の普通層、2のダメ社員層)に分かれます(262の法則)。

すべての経営者さんではありませんが、僕が今までお付き合いさせていただいた社長さんの中には、どうしても262の下部の2の層、つまり、あまりいい言い方ではありませんが、「ダメ社員」にどうしても目が行きます。

「あいつは、だからダメなんだ」
「まずは、あいつに●●をやらせないとダメだ」

と、どうしても「仕事ができない社員」の“ダメな部分”に目が行きがちになります。別に、一人のスタッフに目を向けるのは悪いことではありませんが、問題は、「自社の社員」の本当の問題を捉えていない、ということです。

どうしても「仕事ができない社員」はトップからは目立つ(気になってしまう)存在になるのですが、これはあくまで一部の社員の話。262の部分で言えば、下部の2割に過ぎない、いや、もしかすると目につくのは1割も行かない場合がほとんどです。そこにフォーカスを当てすぎることで、本来の「自社の社員の課題」に目がいかず、2割の社員のためだけの教育をしがちなのです。

先ほども述べたように、たった2割の課題のために教育をされても、あとの8割の社員は、

「そんなの今更やってどうすんの?」
「そんな簡単な研修なら、現場で働いていた方がいい」

と、せっかく教育の時間を設けても社員の参加意識が弱くなる可能性があるのです。だからこそ、どこの層を対象とした教育をするのかというのは、社員教育を成功させる上でも非常に重要なことなのです。

僕は、基本的には、ご支援先のスタッフの能力を鑑みながら、上位3割の人を対象にした教育カリキュラムを作るようにします。すると、残りの7割の人には、難しい内容になるのですが、

「この内容が理解できないと成長できないんだよ」

ということを話しながら、あえて高いレベルの内容を提示することで、彼ら彼女らに対して、目標を与えるようなイメージで教育を行うようにしています。

会社としては、先述したとおり、どうしても「仕事ができない人」に目が行きがちです。

しかし、会社が成長するためには、本当は、「できる社員」をさらに伸ばすことが大切であり、「できる社員は、できるから何もしなくてもいい」と考えていると、会社の成長を止めたり、または、その「できる社員」の離職を招くことにもつながるのです。

なぜなら、「できる社員」ほど、志が高く、視点が高いため、今の会社で学べないとなると、すぐにもっと学べる会社に行こうとするか、あるいは、独立するという道を選ぶ可能性が高いからです。

また、これに関連して言うと、「できない社員」の不満を聞きすぎる社長も多いなと感じています。もちろん、その社員を見捨てろとは言いませんが、「できない社員」というのは、自分に都合のいい人が多く、また、規則やルールを守らない、などという特徴があります。そんな人の不満をどうして聞くんだろう、と。そんな人たちのいうことを真に受けたりするから、会社が成長しないのです!

きっと残りの8割、9割の人は何も感じていないのに、1割の「できない社員」の不平不満を聞くことで、会社の成長を止めてしまう可能性が高いということ経営者は認識すべきです(こんな会社をたくさん見てきました)。

もし、会社を本気で成長させたいと考えるなら、「できる社員」にもっと教育を受けさせましょう!彼ら彼女らをより成長させることが、会社の成長につながります。そして、「できる社員」がさらに成長することで、その「できる社員」が他の社員の見本になったり、教育したりすることで、会社は成長にしていくのです。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 中西敏弘 【発行周期】 毎週2回

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