一般的な南部の家には地下室があります。トルネード警報が出た時の避難用です。地下室がない場合は「バスタブに隠れろ!」と教わりました。
しかし、時代が変わり、南部にもカリフォルニアスタイルの家が並ぶようになりました。こういったハリケーンやトルネードに弱い家が増えたことも、被害を大きくさせていると指摘する専門家は少なくありません。
実際、1992年にハリケーンアンドリューが上陸し、甚大な被害をフロリダ州やルイジアナ州にもたらした時、壊滅的な被害を受けたのは伝統的な南部の家ではなく、カリフォルニアスタイルの家々でした。
子供の頃、「トルネードの幅は狭い」と教わってきました。私が通っていたミドルスクールの近くをトルネードが通った時には、道路の反対側の教会の屋根が吹き飛びました。一方、学校は無事。窓ひとつ割れていませんでした。
しかしながら、今回のトルネードは過去の経験が役立たないほど大きい。被害状況をテレビで見た時には、あまりに広範囲の家々が壊されているので、トルネード自体が過去にないほど大きなものだったことが一目でわかりました。
米国には「ストームチェイサー」と呼ばれる人たちがいて、小型の観測機器を車に積んで、トルネードに接近し、その構造を観測し、予測に役立てようとしている人たちもいます。自らトルネードに接近するわけですから、まさに命がけです。
自然災害の中でも「気象」は、予測が可能な分野です。日本でも富士山レーダーが1964年に設置されましたが、そのきっかけとなったのが伊勢湾台風です。富士山レーダーのおかげで、多くの人命が救われました。
なのに、その予測を遥かに超える事態が世界中で発生している。温暖化や都市化などの影響で、人の命を危険に晒す、予測不能な極めて破壊的な現象をもたらす「雲」が頻発している。実に恐ろしい。
グリーンエネルギーやSDGsがトレンドですが、未来のためだけでなく、今、この時間も危機は始まっているという認識を、世界中、特に日本人は持つ必要があるように思います。
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