北朝鮮について、備えておく必要があるとすれば、核兵器を振りかざして恫喝してきた場合です。そのような国家存亡の危機という認識に到ったとき、米国は先制的自衛権を強引に行使する可能性があります。空母打撃群と巡航ミサイル原潜が搭載するトマホーク巡航ミサイルだけでなく、韓国のキル・チェーンも北朝鮮に対する先制攻撃に投入されるでしょう。
韓国と米国が備える打撃力には、抑止効果を求める反撃力としての位置づけとともに、先制的自衛権を担保する側面があるのです。
日本が、いわゆる「敵基地攻撃能力」を備える場合、そうした打撃力の両面を理解したうえで、艦船と陸上に配備される巡航ミサイルと航空自衛隊の戦闘機によるストライク・パッケージによって、対北朝鮮戦略の一角を担うというのが自然ではないかと思います。
同時に、日本に向けられるとすれば、その圧倒的多数は従来型の弾道ミサイルになると考えられますから、イージス・アショア(陸上イージス)の失敗の穴を米海軍のイージス艦を借り受ける形で秋田県と山口県沖に、それも可及的速やかに展開することで埋めるのが、順序正しい防衛力整備ではないかと思います。(小川和久)
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