「中国当局に情報を抜かれる」北京五輪の出場選手に通達が出た異常事態

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いよいよ開幕が再来週に迫った北京冬季五輪ですが、外国人選手団やスタッフに対する「中国ならではの深刻な懸念」が存在するようです。今回、欧米の五輪委員会が出場選手らに、個人情報保護の観点からスマホを持ち込まぬよう助言したというニュースを紹介しているのは、台湾出身の評論家・黄文雄さん。黄さんは自身のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』で、中国当局による情報窃盗の実態を白日の下に晒すとともに、五輪において盗聴や情報の抜き取りをされないと考えるほうが不自然だとして、日本政府にも注意を喚起しています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2022年1月19日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

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【中国】北京五輪、選手の個人機器から情報抜かれる懸念、そんな国で五輪をやる矛盾

情報抜き取りを懸念か、欧米五輪委「出場選手はスマホ持ち込まないで」

2月4日から開催される北京冬季五輪を前に、欧米の五輪委員会が選手たちに異例の助言を行いました。それは、情報が抜き取られるから、スマートフォンなど個人の機器を中国に持ち込まないようにというものでした。

中央日報によれば、オランダの現地日刊紙・フォルクスクラントは1月11日、オランダの五輪組織委員会が参加選手やスタッフに対して、個人用スマートフォンやノートパソコンを北京五輪に持ち込まないように勧告したことを伝えたそうです。1月13日付の香港明報も、ベルギーの五輪組織委員会が同様の勧告をしたことを伝えました。その他、イギリスは希望する選手やスタッフに機器を貸与、アメリカの五輪委員会もレンタルや使い捨ての機器を推奨しています。

要するに、中国は個人情報を盗む「泥棒国家」だから気をつけろと、選手に注意したということです。多くの国がそのような危惧を抱いている国で五輪を開催すること自体が、極めて異常なことだと言えるでしょう。

もちろん中国側は「事実無根」だと反発していますが、中国当局が「金盾」(グレートファイアーウォール)という検閲システムで、インターネット上の情報を監視、検閲していることは周知の事実です。中国ではフェイスブックやツイッターなどは接続できず、そしてインターネット上で政府批判などを行えば、そのサイトはすぐに遮断され、場合によっては発信者は逮捕・監禁されます。

グレートファイアウォール(金盾)とは?世界最高峰のセキュリティを誇る中国の壁

テニス選手・彭帥(ほうすい)氏が中国の張高麗元副首相に性的関係を強要されたという暴露文をソーシャルメディアの微博(ウェイボ)上で告発したときも、アカウントはあっというまに凍結されて、暴露文はすぐに削除されました。

中国のスパイの国としての歴史は長く、『孫子』の兵法にも「用間の術」として特筆しています。「用間」とはスパイ工作のことです。ことに明の時代には皇帝の「錦衣衛」(秘密警察)をはじめ、宮廷内には宦官による東廠、そしてそれに対抗する西廠というスパイ機構がつくられました。人間不信の国ですから、スパイといえども信用されていないため、さらにスパイを監視する内行省をつくったのです。宮廷以外にも、全国の隅々にわたるまでスパイが目を光らせていましたが、それでも明は内乱で滅びました。

そのような歴史のある国ですから、すでに中国当局は、参加選手のSNSや過去の発言などを事細かく調べています。どのような思想を持っているのか、中国の人権問題や習近平体制を告発したりしないか、金ですぐなびくかどうか…。当然ながら、選手の部屋も監視され、会話などは筒抜けでしょう。

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