では学校を閉鎖すればいいではないか、ということにはなるのだけれどここで思い出してもらいたい。一番初めの緊急事態宣言中において最も評判の悪かった施策が学校等の閉鎖であった。これはなかなか口には出せない。政治家ならなおさらだ。そこで「各自治体の判断」となる訳である。
一応政府の方針通りにことが進めば、1月27日からまん延防止等重点措置の適用地域は島根県(同県に関しては初めて)を含む18道府県を新たに加えた計34都道府県となる。飽くまで個人的な意見としておくが、この効果は極めて限定的であると思う。「デフォルトまん防」の地方市でも感染拡大しているからである。
運が良ければ、耳を塞いで目を閉じている間に自然にピークアウト、そしてフェードアウトして行くかもしれない。だがもし運が悪ければそれはそのまま最悪の事態となる。オミクロン株の脅威は感染者数の多さそのものにある。数の暴力ほど恐ろしいものはない。社会を正常に維持するための基幹労働力が確保できないようなことになってしまえば実質的にロックダウンと同じような状況となってしまう。このような受動的なロックダウンは能動的なそれと比べものにならぬくらいの不安感を市民に与えることであろう。
実は第6波は今までで最も危険かもしれない。殺傷力の高い一撃ではなく、徐々に数を削るという戦術で来ているからだ。こういう戦いを強いられると気づいた時には既に数的に戦闘不能ということも起こり得る。
それを回避するには防衛線が必要である。患者数がある数(あるいはある率)を超えれば学校閉鎖、さらに超えればエッセンシャルワーカー以外の電車利用禁止などである。相手が数で来る以上、防衛線も数によって策定されるべきであると考えるからである。
敵が変わればこちらも戦い方を変えねばならない。戦とはそういうものであろう。にもかかわらず、呑気に「今までの、これまでの」などと言ってばかりいては手遅れになってしまう。最前線ではもう既に、第6.5波あるいは第7波の影が見えているのだから。
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