解説
ここでいう 「ブダペスト覚書」 とは、1994年12月に結ばれた政治協定です。ハンガリーのブダペストで開催された欧州安全保障協力機構(OSCE)会議で署名されました。
ウクライナ(およびカザフスタン、ベラルーシ)が「核拡散防止条約」に加盟した事に関連して、協定署名国であるアメリカ、ロシア、イギリスがこの3国に安全保障を提供する という内容でした。
記事にあるように1996年までに、ウクライナは戦略核弾頭をすべてロシアに移管しました。また米国からICBM、ICBMサイロ、重爆撃機、巡航ミサイルの解体のための大規模な支援を受けました。
その後、ウクライナのヤヌコビッチ大統領は2010年の核セキュリティサミットですべての高濃度ウランを撤去すると発表しました。
そして 2012年3月すべての高濃縮ウランがロシアに移送された ことを発表しました。ウクライナは誠実にブタベスト覚書と核拡散防止条約を守ったのです。
ロシアのプーチン大統領がウクライナのクリミア半島への侵攻を命令したのは2014年2月です 。
高濃縮ウランがロシアに輸送されて、ウクライナが核兵器を作れなくなってから侵攻したと言ってもよいでしょう。
そして今、再びウクライナは10万人以上のロシア軍に囲まれています。
そこから日本がどのような教訓をえるべきか、いろいろな意見があるでしょう。闊達に議論すればよいです。
これは、核拡散防止を誠実に実行して、そのために攻め込まれようとしている国の実例です。
しかし報道機関が「世界平和、核廃絶を提唱する我が社の方針にあわない」といった理由でウクライナ危機の歴史的経緯を報道しないとすれば問題です。
そういった事も報道してほしいと思いませんか?
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