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年金受給額は増やせる。「未納が多くて不安」な中高年でも増額できる方法とは

年齢を重ねれば重ねるほど気になってくる将来の年金。特に学生時代など、未納や未加入期間があった方は「実際にいくらくらい貰えるのか」不安で仕方ないのではないでしょうか。そこで今回は、メルマガ『事例と仕組みから学ぶ公的年金講座』の著者で、年金アドバイザーのhirokiさんが年金の増やし方について解説。受給額を増額させる知恵を伝授します。

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未納問題の始まりと、40~50代で未納が多い場合のその後の年金の増やし方。

1.未納問題が大きくなり始めたのはいつからか。

時々今も年金の未納の問題が話題として挙がる事がありますが、いつ頃から未納の問題が大きくなり始めたのでしょうか。

それは平成10年頃からでした。

それより前からの話を少しすると、1991年にバブルが崩壊してから深刻な不況に陥りましたが、金融機関がバブルの頃に貸しまくったお金が回収できない巨額の不良債権を抱える事になりました。

倒産する企業が相次ぐ中、平成9年11月に三洋証券、北海道拓殖銀行、山一證券、徳陽シティ銀行などの大手金融機関が1ヶ月の間に相次いで倒産していきました。

倒産する金融機関が発生しそれが続くと、「もしかしてあの銀行も倒産するのではないか…」と不安になり、一斉に大勢の預金者がお金をおろし始めるような事が起きる危険があります。

取り付け騒ぎですね。

普段、銀行はいろんな企業にお金を貸しているので手元にはそんなには現金は持っていません。一斉に預金者がお金をおろそうとすると返せるお金は普段そんなに持ってないから、返せなくなって倒産という事態が起こります。

どこかの金融機関が倒産すると、次はあっちの銀行が危ないのでは!?…と取り付け騒ぎが連鎖する危険があります。

こういう不安が連鎖してしまうと倒産が止まらなくなってしまうので、日本銀行が「金融機関には担保なしでいくらでもお金を貸すよ!」と宣言してようやく事態は収まりました。

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その後は、平成10年7月に発足した小渕恵三内閣の時に大量の国債を発行するようになりました。

大銀行が潰れてしまうと、次から次に金融機関がバタバタと潰れてしまう金融恐慌の引き金になりかねないので、公的資金を投入して絶対に大銀行を潰さないようにしました。

金融機関を救うために大量の赤字国債を発行したのですが、その事で著しく日本の財政が悪化する事となりました。

国の財政赤字が300兆円になった時に、このままでは将来は年金が貰えなくなるのではないか…という不安が若者の間で大きくなりはじめ、国民年金保険料の未納者が増加していきました。

この時の未納者は300万人程に上りました。

未納者が著しく増加し始めたため、平成15年頃に国民年金のCMに当時有名な女優さんを起用したりして国民年金の納付を促すような事もありました。

しかし、女優さんが国民年金を未納にしている事が発覚し、その後は与党国会議員などに次々と国民年金保険料の未納が発覚していきました。

未納問題が本格的に大きく取り上げられるようになってきたのです。

与党の国会議員が未納にしてる事が問題になり、当時の野党が与党を批判する時に「こういうのを未納三兄弟っていうんですよ!」と与党を批判していたのが印象的でしたが、その批判した野党の議員も未納にしていた事が発覚して、結局野党にも大きなブーメランが返ってしまいました。

(政治家といえど個人の年金記録なので、そういう記録が明るみに出るという事で当時の社会保険庁の杜撰な管理が問題になって、平成19年の5000万件もの誰のものかもわからない消えた年金記録問題が判明する事にも繋がりました)

政治家ですら未納にしてる事が、国民の不信感を増幅させてしまったわけです。

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2.未納者は4割もいるのか?

さらに年金を4割の人が支払っていない!みたいな話も出るようになりました。

4割もの人が支払っていないのであれば、自分も支払いたくないという人が出てもおかしくないですよね。

未納問題が騒がれ始めてからもう20年ほど経ちますが、どの程度の人が未納者なのでしょうか。

答えは全体の2%弱くらいの人が未納者であり、ほとんどの人が未納や滞納ではないです。

なので、未納者が多くて年金制度は破綻するとかいう話はすべてウソと思って差し支えないです。

未納にすると年金が破綻するという事は無く、結局は未納にした分は年金支払いが減るだけなので、その未納にした人の生活が破綻する可能性はあります。

え?でも4割の人が未納にしてたのに、2%までよく回復したね!と感心してしまいそうですが、視点が違うんですよね。

国民年金に加入してる人は3種類の人がいます。

国民年金は20歳になると強制加入となり、60歳の前月までの40年間が保険料納付義務期間となります。

まずは自営業者や農家の人や、学生、自由業、アルバイトなどの人は国民年金第1号被保険者といいます。

彼らは自ら国民年金保険料(令和3年度月々16,610円。令和4年度は16,590円)を支払っています。

なお、失業や災害、もしくは所得が低くて今は支払えないという人は保険料を免除する事が出来ます。

この国民年金第1号被保険者全体の人数約1450万人程の中に納付者は750万人程、免除者は約580万人、未納者は120万人程となっています。

次にサラリーマンや公務員の人は国民年金第2号被保険者と呼ばれており、厚生年金保険料が給与から強制的に天引きされていますので納付率100%。
2号被保険者の数は約4400万人。

厚生年金加入者ですが、国民年金にも同時に加入している(20歳から60歳の間は同時加入の状態)。

そして、サラリーマンや公務員に扶養されている配偶者を国民年金第3号被保険者といいます。

3号被保険者が将来年金を貰う際の財源は2号被保険者の中に含まれているため、別途に保険料を負担してもらう必要はありません。
この人たちも未納になりようがない。

約850万人ほどの人が第3号被保険者です。

よって、国民年金の被保険者とされているのは1号被保険者1450万人+2号被保険者4400万人+3号被保険者850万人=6700万人です。

このうち未納者は120万人なので、約1.8%ほどの割合となります。

じゃあ未納者が4割もいるっていう話はどっから引っ張ってこられた話かというと、「国民年金第1号被保険者」の中での話を言われてたんですね。

そこを取り上げられてたから誤解が蔓延していた。

まあ、確かに1号被保険者だけで見ると納付してる人は700万人程になりますが、免除者は未納者ではないです。

国民年金の被保険者全体では本当に未納者の割合は少数です。

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さて、前置きが長くなりましたが、未納の問題を考える時は国民年金第1号被保険者期間の部分を見る事になりますが、自営業などの期間やフリーターなどの期間が長い人であれば、その人が保険料を滞納し続けるという事はあります。

さらにバブルが崩壊して以来は会社も経費削減のために非正規雇用者を多く雇うようになっていったので、そういう期間が長かった人が今まで未納が多かったという事もあります。

振り返ってみると平成に入ってからは、バブル崩壊や金融危機、リーマンショックなどの大きな不況があったりしたからですね。

今で言うとコロナショックもそうですが…

そのような不況が訪れると、滞納が増える傾向にあります。

失業率も高くなってしまうとどうしても、保険料を支払えない…という事態に陥るからですね。

そういう時のために国民年金免除制度が用意されているのですが、市役所に申請をせずに滞納のままという事もあります。

しっかり免除を利用しましょう(特に大きな病気や怪我などにあった時に、免除期間がとてつもない力を発揮する)。

過去の年金記録に未納が多いと当然ながら、将来に受け取る年金額は少なくなります。

「過去になかなか年金保険料を支払うどころではなった」とはいえ、中年以降になってくると徐々に老後が気になり始めます。

40~50代になってくると、今からでも将来の年金を増やせないか?という相談が増えてきます。

そのような場合にどういう事をして年金を増やすかの事例を考えてみましょう。

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3.未納が多かった人の年金をできるだけ増やす事例。

ア.昭和39年1月31日生まれのA太さん(令和4年で58歳)
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昭和59年1月30日(誕生日前日に新しい年齢になる)にA太さんは20歳に到達したため、国民年金に強制加入となり1月分の国民年金保険料から支払う義務が発生するよとお父さんから聞いていた。

保険料は翌月末までに支払わないといけない。

A太さんは20歳時点では大学生だったので、国民年金には強制加入とはならずに加入は任意だった。

なぜ国民年金に加入しなくてよかったのかというと、学生は支払い能力が無いであろうとされていたため国は強制加入させていなかった(夜間、定時制、通信、専門学校などは強制加入だった。なお、平成3年4月以降は昼間大学生も強制加入となった)。

なので昭和59年1月から昭和61年3月までの27ヶ月間は国民年金に加入せず。

この期間は保険料払ってないですが、未納ではなくカラ期間と呼ばれる。

カラ期間は、将来の老齢の年金を貰うための最低受給資格期間10年の中には組み込む。

昭和61年4月から平成15年2月までの203ヶ月間は厚生年金に加入したが、退職して平成15年3月から平成16年6月までの16ヶ月間は退職による国民年金の免除を利用した。

なお、203ヶ月間の厚生年金加入中の平均給与(平均標準報酬月額)は40万円とする。

平成16年7月からは非正規雇用者として働いたりしていたが、厚生年金には加入できずに国民年金保険料を毎月支払う必要があった。

平成21年9月までの63ヶ月は頑張って支払ったが、不景気の影響もあり平成21年10月から令和4年1月現在までの148ヶ月間は未納にし続けた。
(支払うのが困難な時は国民年金免除制度が使えるが、申請をしていなかった)

だいぶ未納が続いていたし、もうすぐ60歳台が近づいてきたので将来貰う年金の事がとても気になるようになった。

このまま未納にし続けるのはマズいのではないかと本気で思うようになった。

やはりいつまで長生きするかわからないので、終身で貰える年金は心強いしできるだけ年金額を増やしたい…。

A太さんは将来年金は貰う事が出来るでしょうか。

貰えるのならいくら貰えるのか。

更に増やす事は出来るのか。

(メルマガ『事例と仕組みから学ぶ公的年金講座』2月4日号より一部抜粋。続きをお読みになりたい方はご登録ください。メルマガは初月無料です)

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佐賀県出身。1979年生まれ。佐賀大学経済学部卒業。民間企業に勤務しながら、2009年社会保険労務士試験合格。
その翌年に民間企業を退職してから年金相談の現場にて年金相談員を経て統括者を務め、相談員の指導教育に携わってきました。
年金は国民全員に直結するテーマにもかかわらず、とても難解でわかりにくい制度のためその内容や仕組みを一般の方々が学ぶ機会や知る機会がなかなかありません。
私のメルマガの場合、よく事例や数字を多用します。
なぜなら年金の用語は非常に難しく、用語や条文を並べ立ててもイメージが掴みづらいからです。
このメルマガを読んでいれば年金制度の全体の流れが掴めると同時に、事例による年金計算や考え方、年金の歴史や背景なども盛り込みますので気軽に楽しみながら読んでいただけたらと思います。

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