ウクライナへの軍事侵攻の可能性が指摘されていた頃、「アメリカだけが騒いでいる」とロシアを擁護していた鈴木宗男氏とその盟友の佐藤優氏に「どう取り繕うのだろう」と厳しい言葉を投げかけるのは、評論家の佐高信さん。今回のメルマガ『佐高信の筆刀両断』では、故石原慎太郎氏が語ったプーチン大統領の“中国嫌い”の言葉を紹介。習近平が軍事侵攻を黙認しても、中ロの協調がいつまで続くかはわからないと見ています。
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プーチンを増長させた者たち
『月刊日本』の3月号で維新に属する鈴木宗男が「ロシアは侵攻しないと明言している。ウクライナも侵攻されないと考えている。ところが、アメリカだけがロシアがウクライナに侵攻すると騒いでいる。戦争の危機を煽っているのはロシアではなく、アメリカなのである」。鈴木の盟友の佐藤優も同じようにロシア寄りの発言をしていたが、彼らはいま、これをどう取り繕うのだろうか。
プーチンを増長させた責任は安倍晋三にもある。地元に招待して持ち上げたが、プーチンに手玉に取られただけで、北方領土問題でも何の進展もなかった。
毒を以て毒を制す的に読んだ石原慎太郎と亀井静香の対話『日本よ、憚ることなく』(わっく)に、プーチンについての興味深いエピソードがある。2009年5月、来日中だったプーチンが全国知事会に来賓として出席した。そこで、都知事だった石原がこう提案した。
「日本と中国はアメリカの国債を買わされすぎて、もてあましている。アメリカの国債は利回りが高く5%も保証されているから、この国債を担保にして、日中と協力してシベリア開発しませんか」
これにはプーチンが喜んで、側近のモスクワ市長ルシコフを石原のところへ行かせ、自らの返事を伝えさせた。「ぜひ、やりたい。ただ1つ条件がある。中国と組むのは嫌だ」プーチンがそう言っているというのだが、「なぜ、そんなに中国人が嫌なんだ」と石原が尋ねると、「あいつらはハエだ。1匹でも入れたら、どんどん増えていく」という答えが返って来た。その後の石原の解説を引く。
「ロシア人は中国人が大嫌いなんだよ。長年、中ソ(現ロシアのソ連)間で国境紛争をしていたけど、1969年、ダマンスキー島(珍宝島)で中ソの大規模な軍事衝突が起こった。ダマンスキー島には大きな砂州がある。中国軍が大軍でそこを制圧し、旗を立てた。ソ連も反抗して大軍を投入し、中国軍を追い払った。その後、わざとそこをガラ空きにした。そこに中国人が侵入し、兵舎を建て始めた。それをソ連軍は黙ってやらせていた。ある霧の深い夜、まわりをびっしり戦車で固め、一斉砲撃で中国軍全員を殺した。死体も戦車で踏みつぶした。その光景をCIAが撮影していて記録していたんだ」
今度のプーチンのウクライナ侵攻に中国の習近平はストップをかけなかった。そのためにプーチンは強気になっている。アメリカは中国と対峙しているので、ウクライナに軍隊を派遣できないと見透かされたとも言われているが、しかし、中国とロシアがいつまで協調できるのか。
いずれにせよ、国家が肥大し、リーダーが独裁者になると、民衆はいつもその犠牲になってしまう。
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image by:Asatur Yesayants/Shutterstock.com