なぜ、アメリカは、ウクライナに戦闘機を供与することに反対なのでしょうか?アメリカ政府は、どう説明しているのでしょうか?国防総省のカービー報道官は、こう説明しています。
「(戦闘機供与は)事態を深刻化させる動きと誤解され、ロシア側の猛反発に遭い、北大西洋条約機構(NATO)との間での軍事的緊張の高まりにもつながりかねない」と、情報機関が警告していると説明した。(同上)
要するに、ロシアとウクライナの戦争が、ロシアとNATOの戦争に転化することを恐れている。別の言葉で、【第3次世界大戦勃発】を恐れている。そうなると、通常兵器の戦いなら、NATO圧勝でしょう。しかし、プーチンは、【核兵器】を使うかもしれない。毎日新聞2月28日。
ロシアのプーチン大統領は27日、核抑止部隊に特別態勢を取るよう命じた。ウクライナ支援のため米欧が軍事介入するのをけん制する狙いとみられるが、核保有国がその脅威を公然と口にする事態には懸念も高まっている。
これ、「ただの脅し」に思えないのです。
なぜ?
アメリカの情報機関は、「プーチンは精神異常なのではないか」と疑っています。東京新聞3月3日。
ウクライナへの侵攻に伴って疑問の声が出ているロシアのプーチン大統領の精神状態について、米情報機関が分析に乗り出したとの報道が米国で相次いでいる。ウクライナの民間施設への攻撃が激化し市民の犠牲者が増えているうえ、プーチン氏は核兵器の使用までちらつかせており、常軌を逸した言動を不安視する声が高まっている。
つまり、アメリカ情報機関は、「狂人が核兵器発射ボタンを所有している」と考えている。だから、
- ウクライナに戦闘機を供与する
- プーチンは、「NATOが参戦した」とみなし、バルト三国やポーランドに侵攻する
- しかし通常兵器の戦いには勝てないので、核使用を命令する
こういうシナリオを、アメリカやNATOは恐れているのです。
ウクライナを助けたい。しかし、一線を越えると第3次世界大戦が勃発し、核戦争がはじまるリスクがある。だから、戦闘機を与えることができない。現在はそういう状況なのです。「バイデンは弱気だ」と批判する人も、こういう事情があることを知っておいてほしいと思います。
国際社会は、ウクライナを支援しつつ、なおかつ第3次世界大戦、核戦争を起こさないという難しい状態になっています。そういうリスクが少なからずあることも、知っておきましょう。
(無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』2022年3月11日号より一部抜粋)
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